研究最終年度として、研究成果の総括を行い論文などの公表を行った。 まず、「インタラクティブ・コントロールを機能させる : 心理的安全の観点からの経験的研究」という論文を『経営研究』に発表した。本論文では、医療現場におけるインタラクティブ・コントロールが、心理的安全性がある状況下でこそ機能することを経験的に明らかにした論文である。 また、「販売費及び一般管理費の下方硬直性がもたらす経済的帰結:利益の持続性に着目した経験的研究」という論文を『経営研究』に発表した。本論文では、統計的に一貫したコストの支出を行っている企業が、高い利益の持続性を有していることを実証した。 さらに、これらの研究成果を社会にアウトリーチするため、日本公認会計士協会のセミナーを担当し、これら成果を公認会計士にフィードバックした。公認会計士セミナーは、組織内会計士研修会『トヨタ生産方式など現代の生産活動に適合した生産管理会計とはどのようなものか』という論題で行われ、標準原価計算によるコントロール、配賦計算の精緻化は有効であるか、非財務情報の優越、京セラのアメーバ経営のような「Micro-profit Center」の利用、原価計算の逆機能、タスク・コントロールのための生産管理会計の特徴、リーン生産下における具体的な生産管理会計など、管理会計に携わる組織内会計士にとって、自社の管理会計システムをどのように改善すればいいのかを考えるためのセミナーとなり、本科研費の研究成果を大いに反映したものとなった。
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