研究課題/領域番号 |
19K01988
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研究機関 | 大阪公立大学 |
研究代表者 |
遠藤 尚秀 大阪公立大学, 大学院都市経営研究科, 教授 (40411805)
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研究分担者 |
関下 弘樹 福山大学, 経済学部, 准教授 (30824601)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 財務上の持続可能性 / 公共財務管理 / 地方公会計情報 / 財務レジリエンス |
研究実績の概要 |
他2023年4月上旬以降もコロナ禍の影響で海外調査が実現できず、関連する先行研究の更なる文献渉猟と、国内自治体向けのアンケート調査を実施した。特にアンケート調査については、一昨年度、国際公会計学会(関西部会、zoom開催)で発表した英国自治体向けに公表された『財務管理規範(Financial Management Code)』における基本的な財務管理基準の報告内容をベースとして、我が国の地方財政制度や自治体財務の現状を加味しつつ、研究分担者とともに下記の要領で実施した。 (本調査は日本学術振興会・科研費JP19K01988の助成を受けた調査) (1) 調査名 :地方自治体財務管理についてのアンケート調査、(2) 調査対象:都道府県、政令市、中核市、施行時特例市の全自治体、(3) 調査方法:郵送にて配布、郵送あるいはGoogle Formsにて回収、(4) 調査票配布期間:令和5年4月30日~5月31日、(5) 有効回答数:都道府県(30団体、63.8%)・政令市(10団体、50%)・中核市(32団体、51.6%)・施行時特例市(12団体、52.2%) 上記のアンケート調査をもとに、回答先の一部の自治体においてさらにヒアリング調査も実施し、当該結果を国際公会計学会・第26回全国大会(開催地:千葉商科大学、開催日:令和5年8月5-6日)にて報告した。 結果、財務管理の前提(財務管理責任者の有無・財務管理規程の整備・担当部署の専門性)、中長期財政計画(策定の有無・目標指標他)、財務業績のモニタリング、財務報告の現状等について、現状の把握ができた。引続き、精細な分析を実施していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度において、7月1日から9月末までの第7波のコロナが発生し、一旦終息に向かったものの、10月に入りオミクロン株による第8波の影響が翌2023年2月上旬まで続いた。結果、(1)海外視察(主に英国)の受入れが極めて困難な状況であった。さらに(2)国内自治体への財務管理体制・公会計情報の利用についての実態調査(アンケート調査など)について、担当部署(財政部)が、行政のコロナ対応による予算の再配分や、12月頃からの各自自治体内での次年度予算確定作業などで、アンケート調査を一斉に実施することを断念した。 2023年度においては、上記のとおり、海外調査が引続き実施困難であったものの、国内自治体向けの調査・分析は実施できた。 なお、研究代表者は、2023年2月頃から体調を崩し気味であったが、研究分担者と協力しつつ、研究が推進できた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は最終年度でもあり、昨年度の国内自治体向け調査の分析結果をさらにブラッシュアップするとともに、海外自治体への財務管理についての実態調査および学会等での発表を引続き予定している。 英国でのヒアリング調査の可能性について、現在、現地の英国勅許財務会計協会担当者に確認中である。英国自治体向けに2019年度に公表された『財務管理規範(Financial Management Code)』をベースに、コロナ禍のもと、より持続可能な財務管理を目途として、どのような工夫がなされていたのか、について確認したい。 今後、これまでの集大成として、持続可能な自治体財務管理について、出版等も模索していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は、当初企画のとおり、①英国に訪問して、2019年度に公表された『CIPFA英国勅許公共財務協会(CIPFA) 公共財務管理規範』の基づいて、特にイングランドにおける財務管理のグッドプラクティスとされる自治体へのヒアリング調査、②アンケート調査で回答を頂き、特徴的な内容のあった国内自治体への訪問とヒアリング調査、③学会発表などを実施し、持続可能な財政運営に必要な自治体財務管理の体制や、財務管理への公会計情報の役割等をまとめていく。
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