研究課題/領域番号 |
19K02056
|
研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
岸 政彦 立命館大学, 先端総合学術研究科, 教授 (20382004)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 社会学 / 沖縄 / 生活史 |
研究実績の概要 |
引き続き沖縄県内におけるコロナ感染の拡大と持続によって、特に高齢者を対象とする沖縄戦経験者の生活史聞き取り調査については、かなり制限された範囲のなかでしかおこなうことができなかった。しかし「生活史」という調査方法論についてはかなり進展があり、2021年には、「150人の聞き手を公募して150人の語り手から『東京』での人生を語ってもらう」という大規模なプロジェクトが、『東京の生活史』として出版された。このプロジェクトはNHKのEテレにおいても1時間の特別番組として放送された。「聞き手を公募する」という独特の方法は、続いて「沖縄の生活史」プロジェクトにも引き継がれ、2022年3月から正式にスタートした。これは沖縄タイムス社の復帰50周年特別企画として記事化され、出版もされることになっている。主に沖縄県内の100名の聞き手が、沖縄戦経験者を含む100名の語り手から生活史を聞く、というものである。さらにこのプロジェクトは大阪でもおこなわれることが決まっている。 コロナによって思うように沖縄戦経験者の聞き取りができなかったが、それでも県内在住の大学院生に委託し数名の聞き取りを代行してもらい、同時に私自身も1名の聞き取りに参加することができた。私自身の調査でも、科研費獲得以前からのものを含めると、沖縄戦経験者の生活史を60名以上から聞き取っていて、こちらも大量のデータになりつつある。次年度はそろそろ「まとめ」の作業に入りたいと思う。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
上でも述べたが、引き続き沖縄県内におけるコロナ感染の拡大と持続によって、特に高齢者を対象とする沖縄戦経験者の生活史聞き取り調査については、かなり制限された範囲のなかでしかおこなうことができなかった。しかしながら、そのような状況下でも県内在住の大学院生に委託し数名の聞き取りを代行してもらい、同時に私自身も1名の聞き取りに参加することができた。 しかし「生活史」という調査方法論についてはかなり進展があり、2021年から「東京の生活史」「沖縄の生活史」「大阪の生活史」というプロジェクトが進行している。これは150人の聞き手を公募し、それぞれがひとりずつ語り手の生活史を聞き取る、というものである。「沖縄の生活史」は沖縄タイムス社によって復帰50周年企画としてスタートし、私が全体の監修をつとめている。 また、社会学者10名が集まって『生活史論集』を出版する準備を進めていたが、ようやく原稿が出揃い、来年度中に出版される。この本に収録される私の論文のなかで、今回の科研費による調査で得られた語りを分析している。 聞き取り調査が思うように進まなかったぶん、沖縄戦と戦後沖縄社会についての文献・資料を大量に収集することができた。とくに県内の県史・市町村史の「戦争編」をほとんど集めることができた。そのほか、一般的に戦争・災害・ホロコーストなどの文献を集めた。今後まとめの作業に入りたいと思う。
|
今後の研究の推進方策 |
沖縄県内においてコロナがおさまる、あるいは少なくとも、いまより広がらない、ということを祈るしかない。だが調査と並行して、沖縄戦と戦後の沖縄社会についての資料と文献を大量に集めることができた。私自身の調査でも、科研費獲得以前からのものを含めると、沖縄戦経験者の生活史を60名以上から聞き取っていて、こちらも大量のデータになりつつある。次年度はそろそろ「まとめ」の作業に入りたいと思う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
コロナ感染拡大のため 次年度はコロナが収まれば聞き取り調査をしたい。
|