研究課題/領域番号 |
19K02107
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
角田 隆一 横浜市立大学, 国際教養学部(教養学系), 准教授 (80631978)
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研究分担者 |
木村 絵里子 日本女子大学, 人間社会学部, 助教 (60710407)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 写真 / 写真の社会学 / Instagram / 写真論 / V.フルッサー / 写真家 / 現代日本写真 |
研究実績の概要 |
研究二年目にあたる本年度は、新型コロナウイルス感染症拡大防止に伴う様々な制限によって、研究の進め方に大きな変更を迫られた。たとえば、当初計画していたインタビュー調査の実施が難しくなったが、この問題と今後の方向性について研究分担者と検討した結果、その欠いた部分をドキュメントや表象の分析を強化する方向性で進めていくことになった。また、かつてのように大学施設にて対面で研究会を開催することが難しくなったため、遠隔ミーティングツールを積極的に活用することにした。 以上の方針のもとで、およそ2か月に一度のペースで研究会を開催し、以下の研究作業を進めることができた。 『Genic』『KINFOLK』『ku:nel』といった写真雑誌の分析作業、また、これは調査方法の変更から始動したものだが、「日本写真」(大竹昭子『彼らが写真を手にした切実さを――《日本写真》の50年』)という緩やかなカテゴリーを参考にしながら、「現代日本写真」作品(主に公刊された写真集)についても多数分析作業をおこなった。そして、このように当初計画から調査方法とデータが変わったことで、研究課題にとっての新たな有効な視角とアプローチを見出すことができた。すなわち、V.フルッサーの実存(論)的観点にも目を配って構成されているコミュニケーション論とそれに基づいて展開される写真論(『テクノコードの誕生』『写真の哲学のために』)は、本研究に大変有効であることを確認することができたため、この理論の検討も途中から研究会に導入し、本研究課題に本格的に取り入れていく準備を進めることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症拡大防止に伴う様々な制限によって、調査方法を含め研究の進め方に大きな変更(インタビュー調査の断念など)を迫られ、また、大学でのリモート教育対応にも大きな時間がとられた。くわえて、研究分担者が本年度から大学の常勤ポストに就くこととなり、着任初年度による研究時間の大幅な減少もあった。このため、当初の計画から、研究時間の確保、研究体制、調査方法など多岐にわたっての変更を強いられ、その調整にかなり手間取ってしまった。しかし、日常生活環境の様々な工夫による研究時間の捻出、遠隔ミーティングツールの積極的な活用を導入することで、研究作業の決定的な遅れに陥らないよう食い止めたように思われる。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルス感染症拡大防止に伴う様々な制限とそれへの対応について、今年度はこの突然の事態と先行き不透明な状況に面喰い上手な対処ができたとは言い難かったが、次年度は、この経験を逆に活かして、研究の遅れを取り戻していきたい。リモート教育への対応は十分に慣れてきたので、その分できる限りの研究時間の確保につなげる。また昨年度一年間を通じて、自宅、大学、街での遠隔ミーティングの環境が整ってきたので、これを十分に生かして研究分担者やその他研究に活きる方々とのコミュニケーションをまめにとって研究連携を強化していく。また、研究当初に予定されていた調査方法の変更は、研究課題に対しての新たな視角とアプローチを与えてくれたので、この方向性で当初の研究課題に迫っていきたい。 以上の推進方策のもとで、次年度も、精力的に研究を推進していく予定である。
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