まず、日本ベースの人材業者が、東日本大震災以降、日本企業の海外進出に伴ってアジア各国に展開していったことを確認した。彼らは、言語をベースとした日本文化への適応によって、労働者の選別や能力開発を行っていた。労働市場で流通する「労働力」の能力定義を模索、制度化する過程であったと言えよう。 後半、コロナ禍等で実査が停滞し、研究の軸を移した。一つは机上での調査で、アジアにおける労働移動規範の広がりをILO条約に着目して整理した。今一つは理論的な考察で、前半の調査で確認できた「人材業者(や国家)による人の移動についての構想」が、労働市場の社会的構築の端緒ではないかという気付きで、現在整理を進めている。
|