令和3(2021)年度は昨年度同様、研究計画における「当該年度」(19~20年度)の「具体的研究」「到達目標」のうちの4点(①精神障害者の社会復帰概念についての社会福祉分野ににおける論考の集積、②精神保健福祉領域におけるソーシャルワーク専門職である「精神保健福祉士」(PSW)の職能団体である「日本精神保健福祉士協会」(協会)が、その発足の段階から「社会復帰」をどのような概念として捉えてきたのかを明らかにするための協会による発行物、及び協会関係者による論考の集積、③医療観察法において主としてPSWが担うことになった保護観察所における社会復帰調整官の業務の性質に関する資料及び論考の集 積、④2016年に発生した障害者等殺傷事件(「事件」)を契機として主に「措置入院」とその解除後の「アフターケア」の強化が盛り込まれたうえで国会上程されたもののいったん廃案となった2017年改正法案策定までの各種検討会及び審議会における議事録の整理検討、及び関連資料の集積)にくわえて最終年度課題である⑤社会復帰概念の析出について上記作業の精査を通して導出を試みた。実際は前年度の時点で、上記②および③の「前提」として必要と考えたPSW成立経緯とその職域拡大の様相についての国会議事録、及び関連検討会の議事録の収集・精査を通しての析出という方法にじゃっかんの進行修正を行ったこともあり、最終年度である当該年度も基本的にはこの流れのもと、PSWが“Mental Health Social worker”(MHSW)と略称を変更してまで職域拡大志向を持つに至った経緯について、「社会復帰」概念の捉え方を軸として整理検討を行った。勤務校のコロナ禍対応の諸々の業務負担増もあり、予定通りに進行できない状況ではあったが、当該年度の成果としては学会報告1報という形で発表した。
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