研究課題/領域番号 |
19K02280
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研究機関 | 日本社会事業大学 |
研究代表者 |
永嶋 昌樹 日本社会事業大学, 公私立大学の部局等, 講師 (80439009)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 擬制的祖父母・孫関係 |
研究実績の概要 |
本研究は全国で行われている世代間交流活動のうち、高齢者と子どもとが1対1で個別的に交流する里孫活動・里孫制度等(以下、里孫活動)と呼称される取り組みを検証することを目的としている。研究計画に基づく予備的研究として、世代間交流活動の実態を把握するために、全国の都道府県・市区町村社会福祉協議会を対象として行ったアンケート調査の結果を分析した。 これまでの調査研究では、「里孫」「里まご」「さとまご」等をキーワードとして、里孫活動の取り組みを検索し、活動内容の把握を行ってきたが、「里孫」等の名称を冠していない場合でも、高齢者と子どもとが原則として1対1で交流する活動が行われている可能性がある。つまり、「里孫」「里まご」「さとまご」等の語句を使わない取り組みについては拾い上げることができなかった。 そこで、「里孫」という名称を使わずに行われている個別的な活動、里孫活動と類似する活動を把握することを目的に、地域で行われている世代間交流活動を最も把握しているであろうと考えられる市区町村社会福祉協議会と、各市区町村の情報が集約されていると考えられる都道府県社会福祉協議会の合計1000団体を対象として調査を実施した結果、このうち、都道府県社会福祉協議会については47団体のうち12団体、市区町村社会福祉協議会については953団体のうち254団体から回答があった。当該年度はこの回答を集計し、内容について詳細に検討した。その結果、里孫活動のように擬制的祖父母・孫関係を結ぶような、個別的かつ継続的な世代間交流活動に該当する活動は見当たらなかった。 また、当該研究に関連する2018年度実施の小学校5・6年生の児童を対象とした高齢者に関する意識調査の結果を分析し、子どもが単に高齢者との交流経験があったり、同居していたりするだけでは、高齢者との交流意向があるとは限らないことを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当該年度の後半に、高齢者を対象とした世代間交流の意向調査と、里孫活動を実施している機関を対象とした活動内容に関する追加調査を行う予定であったが、新型コロナウイルスの影響により実施することが困難であった。なお、特別養護老人ホームに入所している高齢者と小学校の児童との間で行われている里孫活動の非参与観察を行い、コミュニケーションの様子や双方の表情の変化等を検証する研究1についても、当該年度より順次行う予定であったが、同様の理由により実施が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルスによる影響のため、高齢者と子どもとが直接的に関わるような活動は、当該年度末時点では行われていない。対象者の観察や聞き取りができない状態であったことから、里孫活動を検証するための基礎資料とするために、わが国における高齢者と子どもとの相互交流の歴史的経緯を目的とした文献調査を行っている。新型コロナウイルス等の影響により当初の研究計画の遂行が今後も困難となった場合には、Webによる同時方向型のやり取りによる調査等による方法を検討したいと考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスによる影響のため、施設等にて行う参与観察や調査が実施できず、そのため、旅費や謝金等を支出するに至らなかった。今後の状況にもよるが、調査等の実施を次年度に繰り延べ、当初の研究計画に基づいて使用する予定である。
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