研究課題/領域番号 |
19K02280
|
研究機関 | 日本社会事業大学 |
研究代表者 |
永嶋 昌樹 日本社会事業大学, 公私立大学の部局等, 講師 (80439009)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | コロナ禍における活動継続 / 感染防止 |
研究実績の概要 |
当該年度は、コロナ禍における実施状況と、里孫活動を新規に開始した事例の有無について把握するに留まった。 前者については、これまでの研究において活動を把握している施設の担当者に状況を確認した。しかしながら、新型コロナウイルス感染症による影響から、従来のような直接的な交流活動は実施されていない状況であった。また、後者については、文献データベースや福祉関連の雑誌等のハンドサーチにより把握に努めたが、新規の活動を見つけることはできなかった。 これらは、本研究の目的である里孫活動の効果を検証するための基礎資料を得るために実施した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
高齢者が利用する福祉施設の多くは、インフルエンザ等の感染症の罹患予防のため、また、施設内感染防止のため、概ね11月から翌年3月頃まで、子ども等との交流活動を制限している。さらに、7月~9月の夏季においても、熱中症や脱水症状の予防を理由に交流活動を控える施設もある。特に近年はこの傾向が強く、活動期間が非常に限られている状況であった。 これに加え、2020年1月以降は新型コロナウイルス感染症の蔓延により、それ以外の期間においても、国内での活動の休止が余儀なくされた。2021年度においても、デルタ株とそれに引き続くオミクロン株の流行により、交流活動がほぼ休止の状態であったため、研究計画も停滞した状況が続いている。 また、渡航による現地調査を予定していた米国におけるFoster Grandparent Proguramの現地実態調査についても、状況は概ね同様である。これらが研究が遅れている最大の理由であり、今後についても目途が立たない状況である。 里孫活動のような世代間交流活動は、人と人とがふれあい、親密な交流を行なうことによって、人間の発達上の諸課題を解決するという効果が期待できる活動であるため、実際の活動に接することなく効果を検証することは困難である。そもそも本研究課題は、高齢者と子どもとが直接的にふれあう里孫活動の効果を検証し、里孫活動による世代間交流を基軸とした地域共生社会の構築モデルを確立することを目的としており、活動自体が行われていることが前提で計画されている。 2021年度においては国内の里孫活動の参与観察と米国のFGPの実施調査を行う当初の研究計画の再開を企図していたが、以上の理由から、計画通りの実施には至らなかった。現在の社会状況では、今後についても当初の計画遂行が困難であると考えられる。
|
今後の研究の推進方策 |
原則として、遅れている当初の研究計画をあくまでも実施する予定であるが、依然として新型コロナウイルスの感染者数が全国で3万人を超え(2022年5月18日現在)、特に高齢者の死亡率が高い現状においては、里孫活動の再開は困難であると推測される。したがって、計画されている国内の実態調査については、今後の社会状況を見ながら適宜修正していくこととする。各地で実施されている里孫活動が、今後も本来の形式で行われないようであれば、里孫活動の実施機関等を対象に、現状と今後の課題を把握するためのオンライン形式による調査を検討する。 外務省の感染症危険情報によると、米国は現時点で危険度レベル2の渡航制限となっているため、米国でのFGPの実態調査についても状況を見て変更を検討する。 なお、研究計画中の試行事業と研究3は、上述の調査を踏まえて行うことになっていることから、当初の計画期間内での実施が難しいと考えられる。今期の研究においては、試行事業に円滑につなげることができるよう、基盤研究の充実に努めることとしたい。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当該年度は前年度の計画を踏襲し、里孫活動を実施している機関に出向いて活動について参与観察等の調査を行うことと、米国におけるFGPの実地調査を行うことの2点を計画していた。しかしながら、デルタ株とそれに引き続くオミクロン株流行の影響で、これらの調査を行うことが困難であった。 そのため、実施機関への謝金と渡航費用等を使用することができず、再び次年度使用額が生じることとなった。 次年度においては、社会の状況を精査し、可能な限りは当初の計画を後倒しにして使用する予定である。 ただし、当初の計画の実施が困難な場合は、オンライン等の活用による代替措置を取り、その謝金や分析に関わる人件費や、文献調査に関わる費用等に充てる予定である。
|