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2019 年度 実施状況報告書

認知症カフェスタッフの認知症の人とその家族の顕在的・潜在的ニーズに対する認識

研究課題

研究課題/領域番号 19K02283
研究機関同志社大学

研究代表者

山田 裕子  同志社大学, 研究開発推進機構, 嘱託研究員 (80278457)

研究分担者 武地 一  藤田医科大学, 医学部, 教授 (10314197)
杉原 百合子  同志社女子大学, 看護学部, 准教授 (90555179)
鄭 煕聖  同志社大学, 社会学研究科, 助手 (80844092)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード認知症の診断後のケア / 認知症の人のもつ顕在的潜在的ニーズ / 認知の人の家族の顕在的潜在的ニーズ / 主催者とスタッフのニーズ認識
研究実績の概要

本研究は、認知症カフェが提供する支援・サービス内容と、カフェスタッフの、初期及び若年性認知症の人とその家族の、顕在的及び潜在的支援ニーズへの認識をアンケートにより調査し、支援・サービス内容と、ニーズ認識との乖離があるのかを調べ、もしあるならばその乖離を解消する方法を模索し、カフェの支援機能を高めるための示唆を見出すことを目的としている。
過去数年間、認知症カフェは全国に広まり、その数は5000を超えるともみられ、全国調査もされ、その形態、開催頻度、プログラム、運営費用、運営上の課題などが明らかにされて来たが、カフェの主催者の認知症の人とその介護者のニーズに関する認識と、従って、サービスの内容についての方針が多様であり、曖昧であるとの結果が明らかになった。つまり、これまでのカフェにおいては、カフェのスタイルが先行したことにより、カフェを開始しやすい利点はあったものの、認知症の人とその家族が、何に困っているかを同定しないまま、プログラムを展開してきたのではないか、との仮説が生まれた。多くのカフェが継続できかねて、中断しているのもそのためではないだろうか。
この研究では、特に主催者の認知症の人とその家族の顕在的および潜在的ニーズを尋ねることにより、各カフェごとにその認識の概念図が描かれ、そこで提供しているサービスがその概念図のニーズを満たすものか、あるいはそこに乖離はあるのかを、コンセンサス会議により導き出すことにより、主催者の認識に一致したサービスを提案できるのではないかと考える。カフェを開催することにより、主催者とスタッフには、カフェに集まる認知症の人とその家族からニーズについて話を聞き、すでに彼らのニーズについてのなんらかの認識が発達していると想定する。この研究でそれを知り、その認識とカフェのサービスが合致しているか知り、もし乖離があるなら、縮小する方向を示唆する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

初年度には、論文を発表したり、頻繁に情報発信などを行っている全国の先進的なカフェの文献を収集・研究し、それら代表的な5~6件のカフェを訪問し、活動内容を観察し、カフェ主催者から、カフェの方針と課題についての聞き取りを行う予定であった。
文献収集・研究は1月頃までに済み、訪問観察を当初予定した5か所のうち、遠方の2か所の訪問聞き取りを行ったが、2月から3月にかけて新型コロナ感染の自粛要請のため残り3か所への訪問が不可能となった。また3月に代表および分担研究者の会議を予定したが、延期となった。
カフェの多くは、その活動の性質上、3密と称せられる形態をとるため、2月半ば以降ほとんどが休業しており、再開は早くて6月下旬ごろになるとみられ、それまで当然訪問もかなわない。対応としては、それら3か所の訪問を可能な限り実行すると共に、無アズかしい場合には、次善の策としてネットで得られる情報を中心に分析することとし、カフェの全国アンケートの作成に繋げるよう、計画を変更し、調査を続行することにしたい。

今後の研究の推進方策

初年度予定した5件の先進カフェへすべての聞き取りが適わず、2件のみ聞き取り完了の現状であるが、新型コロナ自粛要請が取り下げられ次第、残り3件への訪問、聞き取りの実行を目指すとともに、難しい場合には、先行研究の分析をさらに進め、そこから得られる知見に基づき、アンケートの作成を急ぐ。先行研究にはカフェ主催者に感じ取られているカフェの課題がかなり具体的に表れており、それら課題の分析を進める。研究者間の協議はメールを中心に行い、何度も改訂を繰り返し、秋までには完成させるように計画する。
アンケートの送付先について、全国のカフェに届けるために、市町村の高齢者ケア関係者に協力を依頼せねばならず、その方法について、先行研究で採用された方法を参考にし、また新たな方法も模索し、丹念に計画を練らねばならないので、アンケート作成よりも、時間と連絡や協議を必要とされると予想される。認知症カフェの既存のネットワークも活用し、カフェにアンケートを届け、効率的に、十分に、主催者に応えてもらえるように工夫をしたい。
しかし、当初の計画通り日本全国のカフェを対象にすることの可能性が難しいのであれば、対象を近畿地方、または関西のカフェとすることに変更することも検討する。全国を対象にすると内容が浅くなる可能性も考えられるためである。

次年度使用額が生じた理由

申請時には、2019年11月半ばにアメリカへの国際学会(アメリカ老年学会)への出席を予定し、チケットの手配もしていた。しかし夏に開催地のTexas近辺の治安が芳しくないことが報ぜられ、キャンセルしたことから、旅費の使用が予定額より相当低額となった。
今年度は新型コロナの感染が引き続き危ぶまれているが、初年度に中断せざるを得なかった国内のカフェへの訪問と聞き取りを行う計画を立てており、往復旅費および宿泊に支出が必要となる。
さらに、アンケートの送付先が数千に上ると予定しているので、通信費への支出が多大となるとみられる。また、アンケートの送付および開封も、大きな作業量になり、手伝うスタッフの雇用も多人数になるとみられ、アルバイト代の支払いに充てるつもりである。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (10件) (うち国際共著 2件、 査読あり 8件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Medical interventions suppressed progression of advanced Alzheimer's disease more than mild Alzheimer's disease.2020

    • 著者名/発表者名
      Honjo Y, Ide K, Takechi H.
    • 雑誌名

      Geriatr Gerontol Int.

      巻: 20(4) ページ: 324‐328.

    • DOI

      10.1111/ggi.13883

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 韓国独居高齢者のセルフ・ネグレクトと自殺念慮の関係2020

    • 著者名/発表者名
      鄭煕聖
    • 雑誌名

      評論・社会科学

      巻: 132 ページ: 19-30

  • [雑誌論文] 「スウェーデンにおける認知症ケアに関する視察報告―BPSDレジストリの開発と普及ー」2020

    • 著者名/発表者名
      杉原百合子、岩﨑陽子
    • 雑誌名

      嵯峨美術大学紀要、

      巻: 45号 ページ: 79-85

  • [雑誌論文] 独居高齢者の手段的日常生活動作がセルフ・ネグレクトに及ぼす影響に関するソーシャルサポートの調整効果:老人見守り基本サービスの利用者を中心に2020

    • 著者名/発表者名
      鄭煕聖・孟浚鎬
    • 雑誌名

      『Korean Journal of Care Management』

      巻: 34 ページ: 117-138.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Dementia Cafes as a Community Resource for Persons With Early-Stage Cognitive Disorders: A Nationwide Survey in Japan2019

    • 著者名/発表者名
      Takechi H, Yabuki T, Takahashi M,] Osada H, Kato S.
    • 雑誌名

      J Am Med Dir Assoc

      巻: 20(12) ページ: 1515-1520

    • DOI

      Doi: 10. 1016/j.jamda.

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] 高齢者のセルフ・ネグレクト尺度開発に関する研究2019

    • 著者名/発表者名
      鄭煕聖・孟浚鎬
    • 雑誌名

      『厚生の指標』

      巻: 第66巻・第5号 ページ: 27-33

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Increase in direct social care costs of Alzheimer's disease in Japan depending on dementia severity.2019

    • 著者名/発表者名
      Takechi H, Kokuryu A, Kuzuya A, Matsunaga S
    • 雑誌名

      Geriatr Gerontol Int. 2019 Oct;19(10):1023-1029.

      巻: 10 ページ: 1023-1029.

    • DOI

      10.1111/ggi.13764. Epub 2019 Sep 2.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Japanese Old Stories Cognitive Scale: a screening test to detect cognitive disease and prompt visiting a memory clinic.2019

    • 著者名/発表者名
      Honjo Y, Takechi H.
    • 雑誌名

      Psychogeriatrics.

      巻: 19(4): ページ: 363‐369

    • DOI

      10.1111/ggi.13883

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Efficacy and Safety of Glycogen Synthase Kinase 3 Inhibitors for Alzheimer's Disease: A Systematic Review and Meta-Analysis.2019

    • 著者名/発表者名
      Matsunaga S, Fujishiro H, Takechi H.
    • 雑誌名

      J Alzheimers Dis.

      巻: 69(4) ページ: 1031‐1039

    • DOI

      10.3233/JAD-190256

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Efficacy and safety of idalopirdine for Alzheimer's disease: a systematic review and meta-analysis2019

    • 著者名/発表者名
      Matsunaga S, Fujishiro H, Takechi H.
    • 雑誌名

      Int Psychogeriatr.

      巻: 31(11) ページ: 1627‐1633

    • DOI

      10.1017/S1041610218002156

    • 査読あり
  • [図書] 看護と福祉のはざまを紡ぐ 「人」と向き合う、細井恵美子の信念と実践2020

    • 著者名/発表者名
      杉原百合子
    • 総ページ数
      225
    • 出版者
      かもがわクリエイツ
    • ISBN
      10: 486342287

URL: 

公開日: 2021-01-27  

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