研究課題/領域番号 |
19K02413
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
高妻 紳二郎 福岡大学, 人文学部, 教授 (20205339)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 学校間連携 / 学校組織連合 / マルチアカデミートラスト / ティーチングスクール |
研究実績の概要 |
イギリスでは学校改善に資するマネジメントを担う学校管理職については、そのスタンダードを策定することで期待されるリーダーシップの内容を明確化し養成・研修プログラムを整備してきた経緯がある。今般の学校組織連合(federation)を支障なく展開するうえでも、校長の全国専門職資格(National professional qualification: NPQ)が示されている。この枠組みに基づく学校管理職研修プログラムは、教育省の認証を受けたプロバイダーが提供している。これらは総じて民間の評価機関から評価され、自律的学校改善校システム、学校主導型システムの下で、マルチアカデミートラスト(MAT)やティーチングスクール(TS)に代表される学校組織連合の内部でも支援が提供される現状が看取された。付言すればそのネットワークの中でシステムリーダーの育成も貴とされている。 このように学校間連携を促進する人材育成の普及とあいまって、校長の異動も珍しいことではなくなり、能力を請われて移動する学校管理職も見られるようになってきた。イギリスでは学校管理職の資質・能力や研修プログラム等の開発、管理を担う機構として2018年からTeaching Regulation Agency(TRA)が教育省のもとで改編され、学校理事会の裁量が大きいものの、学校間連携もMATやTSを中心として学校同士が自助していく仕組み(school-lead system)として普及してきたと言える。 かかるイギリスの動向と並行して、我が国においては研究者による視点論点の提示と研究から得られた知見の実務上の規程やテキストへの落とし込み、文部科学省主導の組織マネジメント研修教材の開発並びに地方での援用、そしてその取組と並走する研究者によるさらなる知見の提示、といった動向が学校間連携推進の文脈からもクロノジカルに看取される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
イングランドにおける大規模な学校協同組織(federation)の最高経営責任者(CEO)と連絡をとりつつ、インタビュー等はできないまでも資料等のドキュメント分析を進めている。また、これまでの現地調査を踏まえて本研究成果として一部を報告、公刊できた。 しかしながら、新型コロナ感染症パンデミックが拡大し、当初計画していた渡英調査が実施できていない。オンライン等での調査には限界があり、また英国から研究者や学校関係者等を招聘することもできなかった。
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今後の研究の推進方策 |
現地調査が滞り、研究の進捗状況が予定通り進んでいない中、かつ、今後も海外との往来が自由にできる見込みも乏しいので、可能な限り調査対象先から提供された種々のドキュメント分析やオンラインでの調査を継続する必要が生じている。 その過程で把握できた課題等については適宜先方と共有しつつアップデートする計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染症拡大の影響により、旅費として計上していた海外出張、国内出張ともに実施できなかったため、次年度に使用する金額が生じた。 したがって今年度は、コロナ感染状況が一段落し、英国との往来が可能になるだろう時期(概ね201年度末)を見通しつつ、訪問調査計画を確定する。また、対面開催が実現した場合にも関連学会における研究成果発表も行う。併せて、関連書籍の購入にも使用する予定である。
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