研究課題/領域番号 |
19K02413
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
高妻 紳二郎 福岡大学, 人文学部, 教授 (20205339)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 学校間連携 / 学校組織連合 / マルチアカデミートラスト / ティーチングスクール |
研究実績の概要 |
イギリスでは近年では学校群を形成し、より組織的に個別の学校改善に資するマネジメントを担う学校管理職の養成が図られてきた。校長職のスタンダードを策定し校長の養成・研修プログラムを整備してきた経緯があるが、今般の学校群における円滑な学校マネジメントを実施するための学校管理職研修プログラムが数多く用意されるようになってきた。 かかる学校間連携の推進の上で一昨年から全土を通して深刻な影響を与えたのがCovid-19パンデミックであった。イギリスでも未経験の危機に際し、学校群はもとより個別学校でも危機管理対応、そして児童生徒の教育活動の持続等に多くの課題を突き付けた。2021年後半まで各種制限の中での手探りで教育活動が展開されてきた。多くの学校(群)では矢継ぎ早の教育政策、基本方針に適応を余儀なくされ、現実には大小さまざまな決断の結果によって多くの影響がもたらされた。ただし、2018年設置のTeaching Regulation Agency(TRA)等を特徴的な実施主体の変革として、マルチアカデミートラスト(MAT)やティーチング・スクール(TS)を中心とした学校主導のシステム(school-lead system)がより強固になたことが副次的な産物して把握される。 一方、我が国ではかかるコロナ禍において教育行政主体が下した決断がこれからの教育の在り方を方向づけたことは事実だが、危機にあたっての政策決断やそれに伴う学校間連携がどのような影響を受け、変容したのかについてはその検証がなされているとは言い難い。こうした残された課題にアプローチする必要が認められる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
イングランドの学校群の校長と連絡をとりつつ、日本教育行政学会でのイベントやオンラインでの聞き取りなどを通して実相を明らかにしつつあるが、Covid-19の収束が見通せず、引き続き海外渡航が制限されていることもあって現地調査が実施できなかった。現地に赴いての直接の聞き取りや深堀りができていないため、イギリス国内の学会誌掲載論文やキーノート等に触れることにとどまっている。同様に、イギリスから研究者や学校関係者等を招聘することもできていないことがやや遅れている主たる要因である。
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今後の研究の推進方策 |
2022年4月時点で、イギリスでは海外との往来制限がほぼなくなり、今後は現地調査が可能となる見通しにある。帰国してからの各種制限が解かれれば、その時点で現地調査を実施する。年度後半における現地調査を計画している。なお、現地調査実施の前段階において、昨年度に引き続いてオンラインでの聞き取りや調整を行う予定であり、そこで提供されたオリジナルの関係文書分析を進め、その過程で顕在化した疑問や課題等については適宜先方とコミュニケーションを図りつつアップデートする計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
Covid-19感染状況の収束が見通せず、旅費として計上していた海外出張、国内出張ともに実施できなかったため、次年度に使用する金額が生じた。 最終年度にあたる今年度は、イギリスでは海外からの入国制限が解除された状況を受けて、日本国内でも帰国制限が緩和され、イギリスとの往来が一定程度可能になるだろう時期(概ね2022年度後半)を見通しつつ、訪問調査計画を確定する。また、対面開催が実現した場合にも関連学会における研究成果発表も行う。併せて、関連書籍の購入にも使用する予定である。
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