研究課題/領域番号 |
19K02413
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
高妻 紳二郎 福岡大学, 人文学部, 教授 (20205339)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 学校間連携 / マルチアカデミートラスト / 学校組織開発 |
研究実績の概要 |
イギリスの学校間連携の現状を俯瞰すると、マルチアカデミートラスト(MAT)に代表される大小多くの学校群・連合が編成されていることが特徴のひとつとして浮かび上がる。ただし、学校マネジメント権限は単位学校に委譲されており、しかも定期的に外部からの学校評価と結果の公表が義務付けられていることから、優秀な学校管理職、とりわけ校長の任用が社会的にも大きな関心を集めることが多いことが明らかになった。 一方で日本における学校間連携は、依然として小中連携の必要性を課題として掲げるレベルに終わっている自治体も多く、特にコロナ禍においては継続してきた連携がいったん途絶えた状況も看取される。小学校同士、中学校同士の学校間連携の進捗も芳しくない。イギリスの学校も同様に、校長が主導する学校間連携は地域間格差もあって、それらの是正が喫緊の課題として位置づけられている。ただ、学校管理職の育成・確保のための戦略が提示されており、それらの実施が多様な場(大学、学校群、民間等)で行われている状況が看取された。日本においても外部機関からのサポートが待たれるが、現状として教育委員会からの指示や報告依頼が継続しており、学校側から他機関へのサポート要請の段階には至っていないことが明らかになった。イギリスの校長の専門的発達(PD)の機会は個々のニーズや状況に基づいたオーダーメイドのものが多様に用意されていることが特徴的な展開として把握できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2000年当初からほぼ2年間にわたって渡航調査を実施できず、オンラインでの意見聴取と文献調査および各種関連ウェブサイト上のドキュメント分析にとどまざるを得なかった。さらに、短期間での首相交代に起因する教育政策の迷走や教育省から発信される教育政策が揺れ動いたために、それらにまつわる評価を定点で行うことが学術的な意義に照らして不十分であると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は渡英調査及び学会参加・交流も復活させ、学校間連携にみられる特質を明らかにしていく。 これまで学校管理職と関係性を構築しているイギリスおよび国内の学校のウェブサイト上に公開されているドキュメント分析を継続するとともに、学校間連携が直面する諸課題の整理分析に取り組む。 2023年夏にベルファストで開催されるBELMAS(英国教育経営・リーダーシップ学会)に参加し、研究者との情報交換及び学校管理職経験の会員に実情に係る情報提供を依頼する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年夏の海外開催の学会参加及び現地調査を予定していたが、コロナ禍の影響による渡航にかかる制限があり、本課題に関わっての渡英調査を実施できなかったことから、海外調査費用として予定していた旅費に残金が生じた。 2023年度は2023年7月に開催されるBELMAS(英国教育経営・リーダーシップ学会)に参加し、研究交流及び現地の研究者からの情報提供を実現させる。したがって次年度使用額は海外渡航費の1回分として使用する計画である。
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