最終年度においては、これまでの研究成果を広く社会へ公開することができた。また加えて、これまでの研究成果を踏まえて、次の研究課題に向けての課題や計画について検討することができたと考えている。 本研究課題では、ドイツ語圏の入試改革を主たる対象とし検討した。例えば、オーストリアでは、日本の大学入試と同様の問題(学力低下、公平性、公正性など)がある一方で、一部を全国共通化する改革を断行していた。オーストリアでは、多様な試験の方法、すなわち、長時間にわたる記述試験、口述試験、探究学習およびレポートなどである。こうした方法の多様性は、ほかの欧州諸国にも見られたことから、本研究期間においては対象を広くヨーロッパ(オランダ、イタリア、スウェーデン、イギリス、フランスなど)に拡大することにし、結果、欧州の中等教育修了資格試験の改革の傾向を把握することができた。 加えて、入試改革の具体として、資格試験の方法の多様性に注目することで、探究学習およびその成果としての論文が資格試験の必修科目として位置づけられ、それが広く欧州(上述の諸国)の傾向でもあることを明らかにすることができた。 以上の成果は、いずれも以下のように学術書として出版し、その成果を広く社会に問うことができた。 伊藤実歩子編著『変動する大学入試――資格か選抜か ヨーロッパと日本』大修館書店、2020年。 伊藤実歩子編著『変動する総合・探究学習――欧米と日本 歴史と現在』大修館書店、2023年。
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