本研究の目的は、「社会的包摂」に寄与する社会教育の発展に向けた成人教育学の構築をめざし、ノールズが発展させたアンドラゴジーの可能性と限界を明らかにすることであった。 ノールズのアンドラゴジーは、とりわけ「学習者の概念」に可能性があると言えよう。他方で、見せかけのような自己決定性を権力構造の中でとらえていくこと、「生活主体者、主権者しての成人」については、十分に検討がなされていなかった。また、インタビュー調査に応じてくれた社会教育職員の多くは、ペダゴジー的な方法ではないアプローチを取っていた。以上の点を考慮し、「社会的包摂に寄与する」成人教育学の追求をさらに進めることが、今後の課題である。
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