研究課題/領域番号 |
19K02497
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
湯本 浩之 宇都宮大学, 留学生・国際交流センター, 教授 (20534712)
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研究分担者 |
荻野 亮吾 佐賀大学, 学校教育学研究科, 准教授 (50609948)
岩本 泰 東海大学, 教養学部, 教授 (70548007)
二ノ宮リム さち 東海大学, 現代教養センター, 准教授 (90646499)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | SDGs / ESD / ネットワーキング / 参画 / 相互変容 / プラットフォーム / 社会関係資本 / 評価方法 |
研究実績の概要 |
3年目となる本研究では、まず、研究1「国際的な指標と先行研究の検討」に関わり、本研究のメンバーが中核となり、日本社会教育学会のプロジェクト研究を推進し、SDGsと社会教育・生涯学習の関係性の把握を中心に研究を進めた。これらの議論の中で、以下の3つの視点が見出された。第1に、従来の社会教育実践をSDG4の観点から捉え直す必要があることを確認した。第2に、SDGsの各目標に対して主体形成を促進していく実践のあり方を問う視点である。ここでは、各目標に対して主体形成を促進する働きかけが重要になることを明らかにした。第3に複数の目標を総合化してSDを達成していく実践のあり方やしくみを問う視点であり、この視点は、SDGsの先の社会を問うことにつながる。 研究2「先進事例の調査」については、計画に挙げたSDGsに先進的に取り組む札幌・板橋・岡山・那覇という4つの地域に加え、高等教育機関が進めるネットワーキングの動きとして、神戸のRCEの追加調査を行った。この上で、各事例の聞き取り内容に基づき、①SDGsに関わる地域特性・社会教育・市民活動の状況、②ESDからSDGsに至る取り組みの特徴、③取り組みの理念と目的、④取り組みの成果と課題といった点を中心にケースレポートを作成した。 さらに研究3「調査結果の分析とモデル提示(持続可能な地域形成のための教育要素の抽出)」については、上記のケースレポートを俯瞰し、論点の抽出を進めた。具体的には、①SDGsが政策や教育実践に与えるインパクト、②市民を巻き込み参画を促す手法、③対話を通じた相互変容の過程、④連携・協働を強化する基盤(プラットフォーム)の特性、⑤上記の①から④の上に形成されるSDGsに関わる地域の社会関係資本、といった重要な教育要素が見えてきた。最終年度は、これらの要素を反映し、各地域のSDGsに関わる実践を評価する方法を具体化する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究1の「国際的な指標と先行研究の検討」については、社会教育・生涯学習とSDGsの関係性の整理や、SDG4をめぐる研究や、アクティブ・シティズンシップをめぐる研究の把握などを行い、本研究独自の視角を確立することができた。国際的な成人教育やESDに関する評価方法や指標を見ても、地域レベルでのESDやSDGsの評価方法が確立されていないことから、本研究の意義を再確認することができた。 研究2「先進事例の調査」については、新型コロナウイルス感染症の影響で現地調査は難しかったが、オンラインインタビューによって当初計画していた4つの地域と、新たに1つの地域を加えた計5地域の聞き取り調査を完了することができた。これらの調査結果に関する詳細なケースレポートを作成した上で、研究3の「調査結果の分析とモデル提示(持続可能な地域形成のための教育要素の抽出)」についても、重要な論点を示すことができた。次年度は、この論点に沿って、研究4「新規指標の提案(ESDを評価するための指標の提案)」に尽力する予定である。 このように、概ね順調に研究は進められているものの、感染症の影響による現地調査の遅れなどもあり、当初の計画より進捗が遅れている。そのため、研究期間を1年間延長することになった。以上の状況を総合的に勘案して、本研究は「やや遅れている」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は、まず、研究3「調査結果の分析とモデル提示」で提示する論点に沿って、研究4「新規指標の提案(ESDを評価するための指標の提案)」を行う予定である。この指標の内容は、単に数値でのアウトプットの評価を行うものだけでなく、SDGsが地域に浸透する段階や、ESDによる市民のエンパワメントの段階の整理などを含み、市民が自分たちの実践や地域の状態を主体的に診断できる評価方法とする予定である。具体的には、既存の参加型評価や、エンパワメント評価の方法を参考に、評価方法や指標の提案を行っていく。 なお、2022年度は、現地調査が可能であれば、ケースレポートをもとに作成した評価方法や指標を携え、調査フィールドを訪問することを考える。取り上げた先進的な5地域において、提案した指標に基づき、どのような評価がなされ得るか、政策立案者・市民活動関係者・研究者の三者で議論をしながら、評価を行うことも想定する。 また、次年度は最終年度にあたるため、研究成果の取りまとめを行う。研究3については、メンバーで積極的に研究成果を公表していき、その中で、上記の研究4に関する論点を明確にしていく。最終的にはケースレポートの内容に、指標や評価方法の提案も合わせた報告書を作成して公表する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度も感染症の影響で、調査のフィールドに赴くことが全くできず、インタビューや、研究メンバーの打ち合わせを全てオンラインで行った。このため、当初多くの金額を計上していた国内旅費を使用することがなく、これにより次年度使用額が生じた。 2022年度の使用計画については、フィールド調査のための旅費や、調査や評価実施のための経費(研究協力者への謝金、ケースレポート執筆への謝金など)を想定する。さらに、年度末に4年間の研究成果をまとめた報告書の刊行を行う予定であり、この刊行経費も想定する。
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