既往の研究においては、植民地統治下の学校教員をめぐっては、個別の教員の断片的なエピソードや、学校そのものを検討するうえで後景化されたような形で個別の教員の存在について触れられるだけであり、そもそも教員という制度化された存在がどのような制度のもとに、どのような社会的状況のなかに組み込まれているのかということが検討されることはなかった。 これに対して、本研究は関係資料を丹念に分析し、学校教員をめぐる制度の基本的な構造、および個々の教員がどのような形で自らのキャリアを形成していたのかということをめぐる具体的なありかた、そうした要素に規定された教員の社会的位置などを明らかにすることができた。
|