研究課題/領域番号 |
19K02539
|
研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
小山 晶子 東海大学, 教養学部, 准教授 (00645179)
|
研究分担者 |
菊地 かおり 筑波大学, 人間系, 助教 (40616843)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 社会統合 / 移民 / 公教育 / EU / アカデミー |
研究実績の概要 |
第55回日本比較教育学会において、「イングランドにおけるアカデミー拡大後のEAL支援体制の変化」と題して、研究分担者の菊地かおり氏と共に研究発表を行った。アカデミーが拡大したことに伴う、英国の教育制度改革の経緯を整理し、従来の公費維持学校とは異なるアカデミーにおけるEAL生徒への教育的支援の変化について、調査を行った中等アカデミーを中心に比較考察を行った。さらに、マルチ・アカデミー・トラストのなかでも、2つのグループに着目し、従来のEAL支援からの展開と変化について、教員からの聞き取りに基づいて、比較を行った。 さらに、日本国際政治学会において、「EUにおける移民の社会統合政策と庇護・移住基金(AMF)への新たな展開」と題した発表を行った。当発表では、EUによる移民の社会統合政策の展開を、EUの構造基金の一つである庇護・移住・統合基金に着目し考察した。当発表では、移民に対する教育政策に対象を絞ったわけではないが、社会統合政策の一環として、新規到着者を対象とした施策のなかで、庇護希望者をも含む移住希望者を対象とした言語教育の提供について触れた。さらに、EUレベルにおいて、統合政策を促すためのツールを提供するオンライン・プラットフォームが公開されており、学校現場において有効となるツールなどが提供されていることが明らかとなった。従来、国内で実施されてきた移民の子どもに対する教育的な支援に対して、EUの構造基金による支援が、どのように相互に作用しているのかについて、考察する必要性が確認された。 また、研究分担者によって、英国教育研究財団(National Foundation for Educational Research)が実施している移民の統合に関するデータの収集に関する確認等が行われた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウィルス感染拡大の影響を受けて、当初の予定とは異なる調査を実施せざるを得なかった。英国での実地調査を延期した一方で、EUの教育訓練政策に着目し、移民をはじめとする傷つきやすい若者の社会統合へのインパクトに関する考察を始め、その新たな展開について、情報収集を開始することができた。また、英国の学校をはじめとする現場での調査を行う事前の準備として、すでに築いているネットワークを利用して、新たな活動や取り組みについての情報収集を行った。 特に、英国のケースについては、従来想定していたマルチ・アカデミー・トラスト以外のグループについても情報を収集し、地域性の高いグループの一例として考察することが可能であると判断したため、今後も引き続き、潜在的な調査対象として、同地域のマルチ・アカデミー・トラストとアカデミー、また公費維持学校についてもコンタクトを広げる計画である。
|
今後の研究の推進方策 |
新型コロナウィルス感染拡大に伴う入国規制が、どの時期に緩和されるか、現時点では想定できないため、イギリス、フランス、ベルギーをはじめとする実地調査の進行を想定することは難しい。その一方で、実地調査の事前準備として、情報を収集することは可能であるため、できる限りの情報を収集し、事前にコンタクトを取るなどして、調査の可能性を探る。さらに、先方が合意する場合には、現地を訪問するのではなく、質問リストを送付したり、あるいは遠隔でのインタビューを依頼するなど、可能なかぎりの手段を打診することも検討する。 7月上旬に開催が予定されていたIMISCOEであるが、オンラインでの開催が検討されているため、遠隔からの参加が可能となった場合には、研究分担者と共に参加する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスの感染拡大により、研究分担者が想定していた英国出張を、キャンセルせざるをえなかったため。英国におけるインタビュー対象者および参加予定であった会議主催者からも、可能なかぎりの渡英を回避するように促されたため。
|