研究課題/領域番号 |
19K02539
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
小山 晶子 東海大学, 教養学部, 准教授 (00645179)
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研究分担者 |
菊地 かおり 筑波大学, 人間系, 助教 (40616843)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | イギリス / アカデミー / 移民 / 学習支援 |
研究実績の概要 |
コロナ禍の影響により、2020年度当初に予定されていた実地調査についてはキャンセルせざるを得ない状況であった。したがって、前年度までに蓄積していた調査についてのデータおよび資料を整理した。イギリスで推進されている中等教育のアカデミー化のなかでも、マルチ・アカデミー・トラストの傘下にあるアカデミーとそれ以外のアカデミーを対象として、英語を追加言語とする生徒に対する学習支援に差異が生じている側面について考察を行った。 さらに、オンラインのツールを利用して、イギリスの英語を追加言語とする生徒への学習支援に携わる学校関係者(中等アカデミー教員、教育当局に在籍する教員への研修スタッフ、民間団体に所属するアカデミーを対象とした学習支援およびその施策に関する学校関係者研修スタッフほか)にインタビュー調査を行うことができた。インタビュー調査を行った中等アカデミーでは、学校全体で取り組む教育手法が導入されており、英語を追加言語とする生徒が到着してから学校内の生活に慣れるまで、さらに学力向上のためのカリキュラムに関連づけられた継続的な学習支援、学校スタッフ全員が共有する情報のツールなど、大変興味深い事例であったため、日本語で紹介するための執筆に取り組んだ。 コロナ禍における英語を追加言語とする生徒への学習支援体制として、教員向けの資料やツールなどが以前にも増してオンライン上でアクセス可能となった側面について確認することができた。これらの情報をもとに、急速に進んだ教材および資料のデータ化が、英語を追加言語とする生徒への学習支援体制に及ぼした影響についての考察を新たな研究課題の一つとしたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍の影響により、当初予定していた学校訪問等の実地調査を行えなかった一方で、オンライン・ツールを利用して、国際的な学会や会議に参加し、インタビューを依頼するなど、新たなネットワーキングの可能性について検討することができた。オンライン・ツールを用いたことで、調査後のデータ管理とその利用について効率化をはかることができた。これらの新たなツールを用いて、2021年度以降の研究および調査について、改めて研究および調査計画を検討することが必要となる。
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今後の研究の推進方策 |
オンライン・ツールを用いて、アカデミーにおける英語を追加言語とする生徒に対する学習支援の在り方について、複数のインタビュー調査を通して比較分析を行う。比較の対象として、引き続きマルチ・アカデミー・トラストへの参加有無による影響、アカデミーと公費維持学校における学習支援体制の相違、これらの二点に着目し、考察を行うための調査依頼およびデータの収集に努める。また、コロナ禍において学習支援のためのサービスおよび資料のオンライン化が急速に進んだことで、学習支援体制の在り方に影響を及ぼす要因として学校およびアカデミーの地域性との相関関係に変化が生じているかどうかについて、改めて検討したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の影響により、当初予定していた欧州都市での学校訪問をはじめとする実地調査に伴う海外渡航をキャンセルせざるを得なかったことから、旅費の支出が予定通りに執行することができなかった。このような背景から、次年度使用額が生じることとなった。 次年度使用額については、オンライン・ツールを駆使したインタビュー等の依頼を通して、文字起しやデータの保存方法、あるいは発表資料としての編集および加工等に使用することを予定している。さらに、研究成果の発表手段として、当初予定をしていなかった出版に伴う印刷費などにあてることを想定している。
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