研究課題/領域番号 |
19K02780
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研究機関 | 東京家政大学 |
研究代表者 |
石田 淳一 東京家政大学, 家政学部, 教授 (70144186)
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研究分担者 |
山本 光 横浜国立大学, 教育学部, 教授 (00293168)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 学び合いスキル / 算数授業 / 発話分析 / グループ学習 |
研究実績の概要 |
令和3年度は前年度に公刊した「20日間でできる学び合いスキル30」の算数指導(東洋館)の続編として、学び合いスキルを獲得した児童の算数授業における学び合いの具体的な授業事例を5つを取り上げて小学6年生の学び合う算数授業の様子を教師や児童の視点から解説した「対話を楽しみ学びを深める算数指導」(東洋館)を公刊した。この書物は4年間の学び合いの指導を受けた児童の成長を報告するために著述した。この図書では授業映像を見ながら学び合いの授業を理解できるように工夫している。調査研究として栃木県内のH町内の公立3小学校の4年から6年の児童を対象に新学習指導要領で第4学年の新規内容にかかわる割合の調査問題を作成し、「2つの数量の関係と別の2つの数量の関係を割合を用いて比べる」問題の解答状況を分析した。その結果、学年間に有意差がなく、正答率は値上がり問題で50%程度、値下がり問題で20%程度であり、この問題の学年を超えた困難さが明らかになった。これはこの新規内容を扱う学年の妥当性を検討する必要性を示している。愛知県内のT市内の公立小学校における6年の比の応用の授業を事例に「解法探索型」のグループ学習における対話の特徴を調べた。相互作用のある対話には発話者の発言につなげて、意見カテゴリー(拡張、批判、修正、精緻化、統合など)の発話が多く、説明カテゴリー(主張、言い換え)が少ないことが明らかになった。これらの研究成果を発表するための論文作成中である。さらに栃木県内の公立小学校6年生の比の応用の授業を話し合い場面にグループトークを挟み込む教授方略の効果を調べるための授業研究を実施し、データ収集をし整理して、論文作成の準備を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナの影響で令和2年度同様に研究計画がやや遅れているが、手元にある授業データや調査問題データを活用して研究を推進している。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度に投稿した論文を修正し投稿すること。また栃木県H町内の公立小学校で収集した授業データをもとにグループトークを取り入れた教授方略の効果に関する論文を完成して投稿する。さらに広島県内公立小学校で、算数の学び合いの授業展開で児童がどのような思考過程をたどるかを記憶再生を取り入れた研究授業を学期に1回実施してデータを収集し、思考レベルが向上するグループ学習における対話の特徴を明らかにする研究を実施して論文を作成する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナの影響で旅費の経費が予定通り執行できなくなったためである。令和4年度は研究計画遂行のための旅費や分析整理の謝金費用を増額する予定である。
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