研究課題/領域番号 |
19K02791
|
研究機関 | 目白大学 |
研究代表者 |
田尻 信壹 目白大学, 人間学部, 教授 (10436800)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 史料を活用した課題追究型授業 / 世界史授業アーカイブ / 歴史的思考スキル / 歴史授業の収集 / アメリカの歴史授業 / 地歴科の歴史授業 / 歴史学習のアルゴリズム / 高大連携の推進 |
研究実績の概要 |
本研究は、大学研究者と高校教員が共同して行うことを企図し、日米両国の世界史を中心とした歴史授業の現状を分析することである。そして、2018年3月告示の改訂学習指導要領の高校地歴科世界史(新科目・世界史探究)が目指す「史資料を活用した課題追究型授業」モデルを開発して高校地歴科・中学校社会科教員に向けて発信し、授業実践力の向上に資することである。 2021年度は、2020年度に引き続き、新型コロナウイルス感染症の再、再々流行と拡大により海外調査と国内調査が困難であったため、学校を訪問しての授業の調査と収集,博物館・資料館を訪問しての教材調査等は行うことが出来なかった。 そのため、2020年度に引き続き、これまでに調査した資料と執筆した論文の整理を中心に行い、その成果を研究書(単著)『探究的歴史授業の構図 理論・方法・臨床からのアプローチ』(三恵社、2022年2月刊行)として刊行した。ここでは、日米の歴史授業の分析として、地歴科日本史Bの授業実践「聖女・悪女の救済 日野富子の再検証」(埼玉県立U高校)、AP世界史の授業実践「工業化の時代」(米国カリフォルニア州V高校)、米国史の歴史カリキュラム「 Reading Like a Historian(歴史家のように読む)」の授業実践(米国カリフォルニア州M高校)を取り上げた。 また、日本国際理解教育学会編『現代国際理解教育事典改訂新版』(明石書店、2022年3月刊行)が刊行された。ここで、筆者は「国民国家」と「多文化主義の視点からの世界史学習」を執筆した。「多文化主義の視点からの世界史学習」は、「史資料を活用した課題追究型授業」モデルとして位置付けられる実践である。 さらに、田部俊充・田尻信壹・小松伸之編著『大学生のための中等社会科・地理歴史科・公民科概論』(風間書房、2022年4月刊行、2021年度に執筆済)を刊行した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年度は、2020年度同様、新型コロナウイルス感染症の再、再々流行と拡大により、対面での接触を必要とする調査活動の実施が困難であった。そのため、米国、日本ともに、学校を訪問しての見学と調査が出来なかった。 そのため、2021年度は、文献・研究資料を整理することに重きをおいた。これまで調査した資料の整理、及び執筆した論文のリライトと新たな論文の執筆を行い、2022年2月に学術図書(単著)『探究的歴史授業の構図 理論・方法・臨床からのアプローチ』(三恵社)として刊行することが出来た。また、改訂学習指導要領の中学校社会科(中等社会科)と高校地歴科の内容を整理・執筆し、『大学生のための中等社会科・地理歴史科・公民科概論』(風間書房、編著書、2021年度中に執筆済)として刊行した(2022年4月)。
|
今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルス感染症の再、再々流行と拡大に伴う遅れを取り戻すべく、米国と日本での授業見学と調査・収集、博物館・資料館等での教材の調査・収集を実施する。また、研究成果を発信するために開設したホームページ「世界史授業アーカイブ」を積極的に活用して、本研究の成果の発信に努める。 2022年度は、ウィズコロナの中での研究体制を構築する。先進的な歴史授業の見学と調査・収集・記録化を進め、ホームページを活用しての発信とデータベース化を進める。 2022年度から高校では新教育課程に移行し、地歴科では(新科目)歴史総合、日本史探究、世界史探究の授業が始まる。そのため、改訂学習指導要領地歴科に関わる研究を進め、その成果をまとめ、教育系学会や研究会での発表やホームページへのアップを通じて、教職を目指す学生や社会科・地歴科教員に発信する。また、「史料を活用した課題追究型授業」についての研究を進め、教材開発を推進したいと考える。そして、その成果を教職を目指す学生や社会科・地歴科教員に向けて発信し、授業実践力の向上に寄与する。さらに、筆者の管理するホームページや教育系学会、研究会でその成果を発表・報告し、研究の共有化に努める。
|
次年度使用額が生じた理由 |
2021年度は、新型コロナ感染症の再流行、再々流行と拡大により、国内外での対面による調査活動が困難であった。とくに米国での調査活動(博物館・学校・大学等)が出来なかったため、多額の未執行額が発生することになった。 2021年度は、科研研究に関わる書籍(『探究的歴史授業の構図 理論・方法・臨床からのアプローチ』、『大学生のための中等社会科・地理歴史科・公民科概論』)を刊行した。これらの書籍の編集・執筆に関わる時間が増加したこともあり、調査活動に支障が生じた。そのことにより未執行額が生じることになった。 2022年度は、前年度に実施できなかった国内および米国等での調査活動、及び教育系学会、研究会での研究成果の発表を積極的に推進する。そのための旅費や調査活動費、学会参加費を計上する。高校では、2022年度から新教育課程に移行し、地歴科では歴史総合、日本史探究、世界史探究などの新科目の授業が開始される。それらに関わる文献等の購入や調査活動に関わる経費に充てる。Zoom等の遠隔会議システムを用いたリモートによる調査活動や研究環境を整備する。そのための環境整備として、PC、タブレット、モニター、スキャナー等の機器を、昨年度に引き続き購入する。
|
備考 |
本ホームページは、2015年度~2018年度科学研究費助成事業・基盤研究(C)「高大連携による『21世紀型能力』育成を目指す世界史単元開発とデータベース化」の助成を得て開設した。2019年度~2022年度科学研究費助成事業・基盤研究(C)「地歴科教員の史料を活用した課題追究型世界史授業の開発を支援するための研究」の助成を得ることが出来たので、引き続き、本ホームページを運用することにした。
|