研究課題/領域番号 |
19K02830
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
吉澤 恭子 秋田大学, 教育文化学部, 教授 (40594354)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 音楽史 / 教員養成 / 視覚芸術 / フランス / 音楽科 / ICT / デジタル教材 |
研究実績の概要 |
昨年度に引き続き、フランスでの現地調査を実施できなかった。しかし受け入れ教育機関の研究者ならびに音楽教員とメール等によるコミュニケーションをとおして、コロナ禍における現地の教育事情や実践状況について多くの情報が得られ、またデジタル化されている様々な資料・教材等も入手することができた。そうした情報を活用しつつ、本年度は4つの調査・研究を進めた。 (1)コロナ禍にあるフランスの学校教育において、ICTを活用した教育が推奨されている。国を挙げてフランスの児童・生徒の学びを支援するデジタル・ツール Lumni に着目した。Lumni には、初等教育および中等教育のための音楽教育に関するビデオ教材シリーズが数多く提供されている。その中から、小中学生を対象とする『学校でオーケストラ』を調査の対象とした。ビデオ教材シリーズ『学校でオーケストラ』を音楽の授業で使用するパリ15区の小学校のICT環境、そうしたビデオ教材の活用の実態を窺い知ることができた。遠隔(オンライン)・対面方法を問わず、児童・生徒が音楽と芸術の教養を実践的に身につけていくためのデジタル・ツールの可能性や有効性を考える契機となった。 (2)デジタル・ツール Lumni で提示され、市販されている音楽教育に関する書籍・視聴覚教材の調査。 (3)パリ・アカデミーのINSPE(初等・中等教員養成機関)の図書室(蔵書)に確認される音楽と視覚芸術に関する書籍と視聴覚教材等の調査。 (4)パリ・アカデミーのINSPEの授業科目「芸術史・音楽実践」「音楽と芸術の教養」等に関連する書籍と視聴覚教材等の調査。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍の状況から新しい研究の視点が得られた点、そのことに伴い研究の素材が豊かになった点は、本研究課題の推進に繋がっている。しかし当初予定していたフランスの教員養成における「音楽史」をめぐる授業デザインと指導法に関する現地調査と教員養成機関のスタッフとの実際の交流が2年間実施できなかったため、このように判断した。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度も現地調査が実施できないことが予想される。当初の計画を変更しながら研究を進めて行かざるを得ないが、可能な方法(メール、ビデオ会議システムの利用等)で、継続的に現地の研究者ならびに音楽教員とコミュニケーションを図る。 フランスの芸術教科に関わる教員採用試験制度が大幅に変更された。この制度改革によって、研究開始時には予測できなかった研究の視点や着眼点が拡大した。海外渡航が容易になった際には有意義な現地調査が実現できるよう、これまでの調査内容等を整理し、着実に研究成果を発信していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大の深刻な状況でフランスでの現地調査が実施できず、渡航諸経費が計上されなかったため次年度使用額が生じた。2022年度の使用計画として、調査・研究の協力を依頼している学校教育機関や教員養成機関のスタッフとコンタクトをとり、現地調査の再開が可能となった場合には渡航諸経費に充てる予定である。
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