研究課題/領域番号 |
19K02837
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
室伏 春樹 静岡大学, 教育学部, 講師 (30609293)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 技術教育 / 情報教育 / プログラミング教育 / 教材開発 / 教授方略 |
研究実績の概要 |
系統的なプログラミング教育を実現するための教授方略を検討し、この教授方略を実現するための教材開発に着手した。 GIGAスクール構想により1人1台端末が常態化する中、小学校におけるプログラミング教育実践が活性化しつつある。本研究は中学校技術科と工業高校を架橋するプログラミング教育の開発が当初の目的であったが、GIGAスクール構想によってこれらの前提である小学校におけるプログラミング教育が申請時点から大きく変化した。そのため、小・中学校段階におけるプログラミング教育の系統性について考察する必要が生じることとなった。小学校教員による報告を調査すると、プログラミング教育で利用する教材や教具について、中学校との系統性が考慮されていないことが明らかとなった。この要因を「プログラミング教育における教授方略の不足」と捉え、中学校技術科における計測・制御学習を踏まえた系統的な教授方略の検討を行った。 教授方略は菊地(2019)の指摘を参照しつつ、(1)出力から入力の順に指導する、(2)出力と入力の組み合わせを拡張・発展させる、(3)2値(デジタル)から多値(アナログ)の順に扱う、の3項目を設定した。そして、この教授方略に基づく指導が可能であるか検証するため、昨年度まで利用してきたESPer Developerおよびmicro:bitの両計測・制御基板で実装を行った。具体的な実装として、小学校理科の教材を基盤とした扇風機題材と中学校技術科の教材を基盤とした自動運転車題材を開発することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度同様、COVID-19の影響で出張が困難となり、最新の情報を直接入手する機会が損なわれた。また、事業申請時からドローンに対する社会的評価が変化し、機体と所有者の登録制度が確立するなど教材としての利用に著しい影響が生じている。一方で、GIGAスクール構想による1人1台端末下におけるプログラミング教育の教授方略を検討するなど、申請時には想定できなかった研究課題に着手しており、社会状況の変化に対応した研究を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
検討した教授方略に関する学会発表は実施済みであるため、発表後に研究者や現職教員より寄せられた意見を踏まえて論文としてまとめ、これを一般社団法人日本産業技術教育学会に投稿する。並行して工業高校の現職教員と情報交換の場を設け、検討した教授方略を踏まえた系統的なプログラミング教育について議論を行う。現職教員については既に候補者がいるため、日程調整の後に当初の目的である中学校技術科と工業高校を架橋するプログラミング教育に向けた検討を深めていく。さらに小中学校、高等学校向けに販売されるプログラミング教材や、プログラミングスクール等が実施しているカリキュラムに関する情報収集を実施し、本研究の位置を明確にしていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19対応のため当初予定していた出張を自粛したため。次年度は感染状況を考慮しつつ、計画的に出張を行うとともに、差引額分は部品材料等に配分する。
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