研究課題/領域番号 |
19K02901
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研究機関 | 国立教育政策研究所 |
研究代表者 |
加藤 かおり 国立教育政策研究所, 生涯学習政策研究部, 総括研究官 (80323997)
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研究分担者 |
沖 裕貴 立命館大学, 教育開発推進機構, 教授 (50290226)
杉原 真晃 聖心女子大学, 現代教養学部, 教授 (30379028)
勝野 喜以子 (松本喜以子) 成蹊大学, 高等教育開発・支援センター, 教授 (90316935)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | Constructive Alignment / 大学教育開発 / FD / OBE |
研究実績の概要 |
本研究は、交付申請書にあるように、ジョン・ビグス(John Biggs)によって提唱された教授学習理論である「教育構成の整合(Constructive Alignmentの仮訳、以下CA)」の理論について、①その理論自体の大学教授学上及び大学教育開発上の意味を明らかにすること、②その意味に基づくFDプログラムの実践モデル及び教育プログラムの検証モデルを開発すること、そして③その理論と実践を往還する分析を行い、日本の大学教育の文脈における理論と実践の適合の要件及び課題を明らかにすることを目的としている。 研究方法は、4年間の研究期間に、①「CA」理論の理論研究、②CAモデルの大学教育開発の実践研究、③①と②を往還する分析と考察の三つの方法で進めることとしており、2年目の本年度は、①の理論研究を前年度に継続して行うとともに、②の研究の一環として国内外のFDプログラムに関する情報収集を行った。 具体的に、①については、前年度に引き続き、CA理論に関わる文献を分担者間で分担して解読・翻訳し、相互レビューやオンライン研究会での意見交換を行いながら、CA理論の構造や特徴、意義をまとめ、その成果発表の準備を行った。②については、国内外のFDプログラムにおけるCAモデルの位置づけなどを、主にウェブサイトからの情報を中心に収集し整理した。 特に文献研究を通して、CAの教育現場での実装段階で、教育の質のマネジメントに効果的なAlignmentの側面が強調され、実質的な学習や教育の質の向上に関わる理論的支柱であるConstructive(C)の側面が矮小化される危険性や、FDプログラムにおけるCの側面に関する深い理解の重要性が明らかになった。この成果を踏まえ、今後②の実践研究を進展させる必要がある。 これらの成果は、2021年6月に関連する学会大会にて発表(口頭)する予定(採択済み)である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は、研究実施計画にあるように、4年間の研究期間に、①「教育構成の整合(仮訳)」理論(以下CA理論)の理論研究、②CAモデルの大学教育開発の実践研究、③①と②を往還する分析と考察の三つの方法で進めることとしており、本年度は、主に②のCAモデルに関する大学教育開発の実践研究について、国内外の事例研究を実施する予定であった。 しかしながら、本年度も昨年度末に続きCOVID-19感染拡大の状況を受けて、国内の大学では、授業やFDプログラムの多くが初めてオンラインに切り替えての実施を試行するなど困難な状況にあった。また、海外出張の実施についても、訪問予定先である欧米においてやはりCOVID-19感染拡大によるいわゆるロックダウンの措置などがとられる中、実行が事実上不可能となったため、実施を来年度に延期することになり、結果として進捗状況に遅れが生じた。
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今後の研究の推進方策 |
今後も引き続き、研究実施計画にある4年間の研究期間における①「教育構成の整合(仮訳)」理論(以下CA理論)の理論研究、②CAモデルの大学教育開発の実践研究、③①と②を往還する分析を進める。 CA理論の主要文献の翻訳における特にキーワードの訳語について、次年度も分担する研究者間での議論に加えて、関連学会での研究発表や個別のヒアリングを通じた外部の研究者との意見交換を踏まえて、最終選択を行う。その選択を踏まえて、主要文献の翻訳の最終的な見直しを行い出版に向けて準備する。 これまでの①の理論研究の成果(訳語を中心とする議論や文献研究で明らかになった理論の課題など)を踏まえて②の実践研究を展開する。 研究計画にあるFDプログラムの開発・実践や海外の事例研究については、国内及び諸外国のCOVID-19の感染状況や各国の海外渡航方針などに配慮しながら進めることとする。
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次年度使用額が生じた理由 |
使用予定金額の大半を占めていた旅費について、計画していた複数の海外事例調査や国内での研究打合せ、学会大会参加のための出張などが、昨年度に引き続き、COVID-19の感染拡大の影響を受けての延期や一時的なオンラインでの対応となったため、次年度使用額が生じた。 これについては、次年度、国内外の同感染拡大の状況を見ながら、可能な範囲で計画に沿って使用する予定である(ただし、特に海外調査の訪問先などについて変更する可能性がある)。
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