研究課題/領域番号 |
19K03210
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
杉浦 淳吉 慶應義塾大学, 文学部(三田), 教授 (70311719)
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研究分担者 |
吉川 肇子 慶應義塾大学, 商学部(三田), 教授 (70214830)
西田 公昭 立正大学, 心理学部, 教授 (10237703)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 社会の分断と統合 / ゲーミング / 化学反応ゲーム / 集団間葛藤 / 説得的コミュニケーション / 合意形成 |
研究実績の概要 |
2023年度は、2022年度までに「説得モデル」と「合意形成モデル」の2つの軸で体系化してきた個々のゲーミングに関して、対応する社会心理学の基礎的な理論との対応を検討し、社会現象(事例)、理論、ゲーミングそれぞれの関係に着目した。利害調整のモデルである「ステークホルダーズ」と係争解決のモデルである「市民プロフィール」に共通して導入した「意見表明ボード」の結果を検討した。意見表明ボードとは、集団意思決定の際に、意見表明ボード上の複数のオプションに対して、個々のカラーキューブによって表明するものであり、個々のプレーヤーの選好を随時可視化するツールとして機能することを確認した。すなわち、ボードに意見を表明することで、討論場面での発話はその場でメンバーによって記憶され、それぞれの立場や意見が共有される。その際、意見が可視化されることにより、それぞれの立場や意見はメンバーに常に晒され、個々人は自身の意見へのコミットメントが高まり、後に引けなくなることが多くの場合で観察された。 以上のような考察から、個々のゲーミングのシステム、それが表象する現実世界、そしてそれを説明する社会心理学理論の3者の関係を表した「トライアングルモデル」を提唱した (Sugiura, in preparation)。このモデルを精査するプロセスにおいて、社会心理学が歴史的に物理学のモデルを援用して現象の理論化が行われていることに着目し、社会の分断と統合を化学反応のモデルに喩えるに至った。本研究期間内の2021年の研究代表者のドイツでの在外研究において、化学反応が使えないかと当地の科学者との議論で着想を得て開発した「化学反応ゲーム」を2023年度には学会での企画セッションでテストプレイを実施し、社会の分断を統合することが理解できるゲームとして教育場面で活用できることを確認した。
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