研究課題/領域番号 |
19K03231
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
佐藤 喜一 九州大学, アドミッションセンター, 教授 (00300517)
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研究分担者 |
柴山 直 東北大学, 教育学研究科, 教授 (70240752)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 対応づけ / 等化 / 対応づけ可能性 / 対応づけ得点の精度 / 下位テスト / 古典的テスト理論 |
研究実績の概要 |
テストXの65点がテストYの68点に相当するなど,二つの異なるテスト間のスコアを統計的な手法を用いて比較可能にすることを「対応づけ」という.その際,意味ある対応づけを実現するためには,さまざまな観点から「対応づけ可能性(対応づけしてよいかどうか)」を吟味する必要がある.現実のテストの中には,英語4技能試験をはじめ,いくつかの下位テストから構成される大規模テストが数多く存在する.しかしながら,そのような構造を有するテストの対応づけ可能性を分析する手法が確立されていない.本研究の目的は,対応づけ可能性の分析手法を拡充するため,①単一のテスト用に研究代表者らが開発した指標を整理し,②下位テストから構成されるテストの場合へと展開することである.
2020年度の後期以降,研究の独自性を国際的に確保するため,「①開発済み指標の用語・概念の整理」の成果を海外雑誌(Journal of Educational Measurementなど)に公表することを第一目標として研究を推進してきた.論文の掲載には今のところ至っていないものの,何度かの投稿・再投稿を繰り返しながら,海外の専門家による貴重な査読意見をもとに研究内容と論文の洗練に努めている.本格的に段階②に取り組むためには,段階①の成果のオリジナリティを確保することがやはり重要な一歩である.2022年度は,投稿先の見直しも含めつつ,引き続き段階①の成果を海外雑誌に公表することを第一目標として研究を推進する計画である.なお,2021年度の成果として,4件の派生研究を雑誌論文と備考の欄に記載した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響に加え,「①開発済み指標の用語・概念の整理」の成果の公表に手間取っているためである.「②下位テストから構成されるテストの場合への展開」に未着手であり,計画からは一年程度の遅れという自己評価である.
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今後の研究の推進方策 |
2022年度前期には,研究の独自性を国際的に確保するため,引き続き「①開発済み指標の用語・概念の整理」の成果を海外雑誌に再投稿することを目標とする.投稿先の候補として,Journal of Educational and Behavioral Statisticsなどを予定している.査読の状況により,海外雑誌への掲載が難しいと判断した場合は,研究分担者と十分に相談した上で,適宜,国内雑誌への投稿などに切り替える.
2022年度後期には,「②下位テストから構成されるテストの場合への展開」に取り組む計画である.いくつかの下位テストから構成されるテストを対応づけする場合,「合計得点を利用して対応づけする方法(合計得点による対応づけ)」と「下位テスト間を対応づけしてから対応づけ得点を合計する方法(下位テスト得点による対応づけ)」が考えられる.段階①の開発済み指標を活用し,後者の対応づけ可能性を分析する手法の開発に着手する.
本格的に段階②を推進するためには,段階①の成果のオリジナリティを確保することがやはり重要である.段階②より段階①を優先することとし,場合によっては研究期間の一年延長も選択肢としたい.仮に段階②に取り組めなかったとしても,段階①の成果公表に目処が立つならば,今後の研究の発展のために十分な成果といえる.
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の影響もあり,研究の進捗状況に一年程度の遅れがあることが主な理由である.2022年度の予算は,繰り越した分を合わせ,PC環境の整備,和英翻訳・英文校閲,オンライン対策,出張旅費などに活用する予定である.
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