本研究を通じて,学生の授業観察過程における視点の推移について3つのタイプを抽出できた。第1に授業者を中心的に見るタイプ,第2に教師だけでなく子どもにも目を向けるが、その時の発言者を中心的に見るタイプ,第3に発言者だけでなく周囲の子どもたちにも目を向けて学級の様子を幅広く見るタイプである。第3のタイプの見かたをする学生の人数が少なかったことから,発言者以外の子どもに積極的に目を向けて有益な情報を引きだすような授業の見方は学生にとって困難なものだと考えられる。教材開発の視点として,教師だけでなく,学級全体の様子を見渡すことを促す工夫などの重要性が示唆されたと考える。
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