研究課題/領域番号 |
19K03359
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研究機関 | 武庫川女子大学 |
研究代表者 |
佐藤 安子 武庫川女子大学, 文学部, 教授 (60388212)
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研究分担者 |
松端 克文 武庫川女子大学短期大学部, 心理・人間関係学科, 教授 (90280247)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 対人援助職者 / ストレスの自己調整 / レジリエンス / 自覚的ストレス |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、対人援助職者としての社会福祉職のストレス認知とレジリエンス(適応に必要な心理的リソースのレベルとこれらのリソース自体との関係)の特性を調査することであった。兵庫県知的障害者施設協会14施設に所属する計500名に無記名郵送調査を行った。調査時期は2019年9月~10月であった。質問紙は、ストレス自己調整評定尺度(Stress Self-regulation Inventory :SSI)、Miller Behavioral Style Scale(MBSS)、日本語版POMS2の3種類であった。218名(男性104人、女性114人)から回答を得た(回収率43.6%)。このうち、110名から個人結果フィードバックの希望があったため、研究協力者が開発した個人結果フィードバックプログラムを用いて結果を「出力し、直送した。なお、3つの質問紙の対応をとるために、実名の代わりに調査協力者が任意の数字とアルファベットで自身が作成したコード番号を用いた。その結果、社会福祉職のストレス制御には3つの特徴があった。第1に自覚的ストレスの程度には性差はなかった。第2に女性は男性よりもソーシャルサポートと自己開示傾向が高かったが、心理的リソースの中にストレス抑制因子は認められなかった。一方、男性では、実存感がストレス抑制因子となっていた。男性と女性ではストレスからの精神的回復に必要なリソースの構造が異なっていた。第3に福祉職はストレス刺激から一定の距離を保つことによって、自覚的ストレスの程度を一定程度に維持する、ということであった。さらに、男性だけが、生きがい感を感じない場合、精神的および身体的な脆弱性が現れる可能性があることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
兵庫県知的障害者施設協会は、220施設2000名を対象とした調査を受け入れてくれた。しかし予算の都合で2019年度は14施設500名に絞って郵送調査を1年前倒しして行った。当初の計画を修正し、2020年度は郵送での追加調査を行うか、集合調査と研修会一体型の調査を行うか検討している。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は予算の範囲内で郵送での追加調査と、郵送調査・研修会一体型のストレス対処プログラムを1年前倒しして実施する予定である。大きな課題として2020年7月に発表演題が採択されていたThe 32th International Congress of Psychology がCOVID-19の影響により現在のところ2021年7月に延期になったことから、予算執行と研究計画とを見直す必要が出てきたことがあげられる。この学会は2020年の発表として実際には2021年に実施予定となっている。なお、本学会で発表する予定の演題は、2019年度の調査結果をまとめた内容で、2019年12月に査読の上採択されている。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度は国際会議が実施される予定であるが、COVID-19の状況のた開催・出席が不透明である。場合によっては研究計画も変更する必要がある。そのため、少しでも2019年度予算を2020年度に繰り越したいと考えた。繰越金は追加調査もしくは国際会議出席のための費用の補填として使用する予定である。
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