研究課題/領域番号 |
19K03359
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研究機関 | 武庫川女子大学 |
研究代表者 |
佐藤 安子 武庫川女子大学, 文学部, 教授 (60388212)
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研究分担者 |
松端 克文 武庫川女子大学短期大学部, 心理・人間関係学科, 教授 (90280247)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ストレス対処 / 対人援助職者 / ワークエンゲージメント / 福祉専門職 / レジリエンス |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,福祉専門職に特有のストレス対処の仕組みを明らかにし,その特徴に適合したストレス対処技法を開発することであった。これまで,福祉専門職に特化したストレス対処の機序の研究は稀有であり,これを明らかにすることによって,バーンアウトや離職といった社会的課題の解決にも貢献できると考えている。 当初の計画では,1年目の終わりにストレス対処技法の研修会をパイロットスタディとして行ない,2年目の調査結果を踏まえて修正した研修会を実施し,効果研修する予定であった。しかしCOVID-19の影響により,2年目は対面での会合・研修会は見送らざるを得なかった。そこで郵送調査を充実させることとし,鹿児島県知的障害者支援協会の加盟施設を対象に追加調査を行った。また神戸市社会福祉協議会において集合調査も行った。結果80件のデータが得られた。これまでの調査で明らかになったことは,男性福祉専門職は体力の有能感が柔軟なストレス対処を支えるが,女性福祉職は心身が不調なときほど努力して他者を凌いでいこうとする,という特徴が見られた。 本年度の調査はCOVID-19以降の調査データであるため,コロナ禍の影響の有無を分析中である。またZoomによる研修・調査一体型のリアルタイム双方向型の研修会を実施した。最終年度に行う予定であったが,前倒しで実施した。内容は調査票を事前に記入してもらい,Zoomの画面共有機能を用いて様々なストレス対処やストレス情報のとらえ方をシュミレーションしながら「どんな条件下でそのような結果が出るのか」について解説する,というものであった。参加者からは安全にどこからでも参加でき,内容もよく理解できたという感想を得た。この結果をもとにもう少し構造化した「リアルタイム双方向型遠隔研修会」を最終年度に行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
COVID-19の影響により,フィールドの職員が多忙となり,調査協力を依頼することが難しくなった。そのため,前倒しでストレス対処の研修会を,Zoomを用いて研修・調査一体型のリアルタイム双方向型で実施することができた。全体として規模は小さくなったかもしれないが,幅の広がりのある研究が遂行できた。
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今後の研究の推進方策 |
現在までに集まった調査票を,コロナ禍前後で比較検討するデータ分析を行う予定である。また,本報告書作成直後の2021年7月に遠隔で国際学会(The 32nd International Congress of Psychology: ICP2020+)にて2019年度の調査結果を報告し,質疑にも参加するため,海外での社会福祉職のストレス対処の仕方についての知見も得る予定である。すでに査読の結果,抄録は受理されている。 また当初の目的であったリアルタイム双方向型の新しいタイプの研修・調査一体型の研修方法の枠組みも構築する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年7月にチェコ共和国プラハで行われる予定であったThe 32nd International Congress of Psychology はcovid-19の影響により全面対面開催がなくなりハイブリッド開催となった。既に演題は採択されており,この学会への参加旅費として40万円を計上していた。しかし,現状で開催地での発表を行うことは現実的でないと判断し,オンライン発表に切り替えた。そのため,計上していた旅費分が使われないままとなっている。 また,本年度は研究組織で打ち合わせのための旅費,対面での研修会準備のための人件費を計上していたが,これらが全くできなかったため,この2つの費目は支出がゼロとなった。とりわけ研究分担者松端は,フィールド調整担当者の役割を担っているが,調整を全てメール,電話,会議用ソフトを用いてリモートで行なったため,打ち合わせに充当する予定で計上していた配分金が全く使用できなかった。 そこで,次年度に繰り越しをして,これまでに収集したデータ解析の業務委託費,これまでの調査結果,およびオンラインセミナーの成果を盛り込んだより充実した報告書作成費に充てる予定である。さらに配布数を当初予定より増やしてフィールドの活性化に役立てたい。
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