研究課題/領域番号 |
19K03359
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研究機関 | 武庫川女子大学 |
研究代表者 |
佐藤 安子 武庫川女子大学, 文学部, 教授 (60388212)
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研究分担者 |
松端 克文 武庫川女子大学短期大学部, 心理・人間関係学科, 教授 (90280247)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ストレスへの適応ダイナミクス / 福祉専門職 / ストレスの自己制御 / 性差 / 生き甲斐感 / 体調管理への葛藤 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,福祉専門職特有のストレス対処の仕組みを明らかにし,その特徴に適合した対処技法を開発することであった。研究全体で,①福祉専門職のストレスへの適応ダイナミクスには個人差と性差が認められる,②それを踏まえたストレス対処技法はその個別性を踏まえる必要がある,③コロナ禍という事態の前後でストレスへの適応ダイナミクスは大きく変化することがわかった。まずコロナ禍前に,A県知的障害者施設協会14施設に所属する計500名に無記名郵送調査を行った。218名(男性104人,女性114人)から回答を得た(回収率43.6%)。その結果,福祉専門職のストレス制御には3つの特徴があった。①自覚的ストレスの程度には性差はなかった。②ストレスからの精神的回復のダイナミクスに性差があった。女性は男性よりも「ソーシャルサポート」と「自己開示傾向」が高かったが,ストレスを抑制する心理資源は認められなかった。一方,男性では,「実存感」がストレスを抑制していた。③福祉専門職はストレス刺激から一定の距離を保つことによって,自覚的ストレスを一定程度に維持する,ということであった。さらに,男性福祉職には,「生きがい感」を感じない場合,精神的および身体的な脆弱性が表面化する可能性があることが示唆された。2年目は対面での研修会は見送らざるを得なかったため郵送調査の充実のため追加調査と前年度の課題を踏まえたZoomによる研修・調査一体型のリアルタイム双方向型の研修会を実施した。コロナ禍後はストレス制御のダイナミクスは変化しており,ここにも性差が認められた。男性福祉職はストレス制御の鍵となっている体力への自信の低下,仕事への誇りと体調管理の葛藤が認められた。また女性福祉職は体調不全をカバーする力の低下,が明らかになった。以上の内容を報告書にまとめ,全調査協力施設に配布した。
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