研究課題/領域番号 |
19K03398
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
小須田 雅 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (40291554)
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研究分担者 |
大浦 学 金沢大学, 数物科学系, 教授 (50343380)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 不変式 / Kronecker の問題 / ダイアグラム代数 |
研究実績の概要 |
2020年度はCOVID-19の全世界的な蔓延のため、研究分担者を含めた国内外と対面で交流することが不可能になった。研究会自体はおもにZOOMを利用して今までと同じように参加することができたが、研究会の合間に行っていた参加者同士の交流ができなくなったことはかなり支障をきたした。それ以上に、オンライン授業の準備のための教材作り等に相当な時間を取られることになったため、研究に集中できる時間が少なくなり、予定通りの進捗は得られなかった。 そのような状況の中でも、分担者の大浦学、その学生であったNur Hamidと不変式環の部分環についての共著の論文「Certain subrings in classical invariant theory」を富山ジャーナルから出版した。この研究では、不変式の安定化群にB型のコクスター群が出現してきており、今後は、従前に自身が行ってきたB型コクスター群のテンソル積表現、その中心化環の規約表現などの研究が、この研究を媒介として、符号理論、不変式論、モジュラー形式との関連について調べていく。 また琉球大学の徳重英典、加藤満生との共著「Extending Muirhead's inequality」については投稿済みで審査中である。こちらは、目標となる不等式の完全な証明には至っていない部分的な結果であり、現在も完全な証明を目指して研究を続けている。この不等式の証明にはYoung図形や対称多項式が現れており、表現論を利用した解決をいくつか試みているが、有効と思われる方法の候補がいくつかあり、今後はこれらの方法の有効性を確かめる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19の全世界的な蔓延のため研究旅行や研究交流が出来なかったこと、大学の講義準備に時間が取られて、研究時間を十分に確保できなかったことが主な理由である。その他、一昨年までは、現在所属する研究機関に備えられていない文献を近隣の大学や出張先の大学の図書館で複写していたところ、その利用も制限されてしまったため、必要な文献に辿り着けなかったり、辿り着くのに時間がかかるようになったことも遅れの原因である。
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今後の研究の推進方策 |
講義準備に時間が取られて研究時間が確保できなかった点については、昨年1年間でノウハウを身につけたことにより、今年は時間が取れる見込みである。 研究実績の概要で記した通り、令和3年度以降は大浦との共著論文に現れた不変式環とその部分環が、従前に自身が行ってきた(B型コクスター群を含む)複素鏡映群のテンソル積表現、中心化環の基底や、規約表現などが、符号理論、不変式論、モジュラー形式とどう繋がっているかの解明を目指す。 琉球大学の徳重英典、加藤満生との研究については、部分的な結果であり、目標となる不等式の完全な証明には至っていないため令和3年度以降も完全な証明について探る。これに関しては、有効と思われる方法の候補がいくつかあり、今後はこれらの方法の有効性を確かめる。また、証明に関して有効でない場合でも、表現論・組み合わせ論とのつながりを示唆する結果が得られているので、それらについてもまとめたいと思う。 ZOOM等を利用したオンラインの研究集会では、今まで移動距離があるために参加を断念していた集会にも参加できるようになった。実際、オンラインでなければ、参加しなかったであろう集会に参加したことで、思わぬ知見が得られたこともある。とくに、Knot関連の研究集会に参加したことで、Knotの不変量の構成方法と現在の研究との類似点を知ることができた。本研究に続く研究になることが予想されることから、Knot関連の研究についてもフォローしていき、今後の研究に役立てたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該助成金が生じた理由は、予定していた旅行ができなくなったことにある。しかしながら、令和2年度はパソコン等の研究に必要な機器が相次いで故障したこと、オンラインの研究集会参加するのに十分なスペックの機器が備わっていない現状から、令和3年度以降は、この助成金を研究機器の整備に使用する予定である。
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