対称空間は各点で点対称が定義できる空間で、様々なよい性質をもつことが知られている。コンパクト対称空間の対蹠集合はそのコンパクト対称空間の性質を反映した有限部分集合であり、極大対蹠集合の分類や位数の最大値の決定は、対蹠集合の構造や性質を解明するための手掛かりになる。極大対蹠集合の分類の研究を通じて、非連結コンパクトLie群の極地の研究やコンパクトLie群の奇数被覆度の被覆準同型写像による対蹠集合の対応の研究などへの発展があった。対蹠集合は、その有限性から、対称空間論と有限群論や組合せ論などとを関連付けるものであり、研究成果により対称空間の他分野への応用が期待できることから意義があると考えられる。
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