研究課題/領域番号 |
19K03500
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研究機関 | 東京女子大学 |
研究代表者 |
新國 亮 東京女子大学, 現代教養学部, 教授 (00401878)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 空間グラフ / Conway-Gordon の定理 / 結び目内在性 |
研究実績の概要 |
1.グラフの 3 次元 Euclid 空間への埋め込みの像を空間グラフという.$n$ 頂点完全グラフとは $(n-1)$ 単体の 1 骨格として得られるグラフであり,その空間グラフを空間 $n$ 頂点完全グラフと呼ぶ.空間 7 頂点完全グラフが含む Hamilton 結び目(=グラフの全ての頂点を含む結び目成分)の Conway 多項式の 2 次の係数の総和は必ず奇数であるという事実は 7 頂点完全グラフの結び目内在性を導き, Conway-Gordon の定理としてよく知られている.更に森下-新國による Conway-Gordon の定理の一般化・精密化の系として,$n$ を 7 以上の整数として,空間 $n$ 頂点完全グラフの Hamilton 結び目の Conway 多項式の 2 次の係数の総和は,$n$ が 8 を法として 0, 7 に合同であるとき $(n-5)!/2$ に,そうでないとき $0$ にそれぞれ $(n-5)!$ を法として合同であることが示されている.一方,これらの合同式が最良であるかどうかについては知られていなかった.そこで今回,$n$ を 7 以上の整数として,逆に上の条件をみたす任意の整数 $k$ を取るとき,ある空間 $n$ 頂点完全グラフが存在して,その Hamilton 結び目の Conway 多項式の 2 次の係数の総和が $k$ に等しいことを示した.従って Conway-Gordon 及び森下-新國の合同式は最良であることがわかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
種数 2 の交点数 6 以下の既約なハンドル体結び目の前順序集合の解析が,あと一歩のところで停滞している.また,空間完全グラフの代数的不変量による内在性の縛りについて,有限型不変量の意味で「2 次」の不変量に関するものはほぼ決定的な結果を得たが,より高次の不変量による縛りや線形空間グラフへの応用について,まだ発展途上の段階にある.
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今後の研究の推進方策 |
進捗状況はやや遅れ気味であるが研究自体は弛まず進めており,次年度も研究目的の達成のためこの態勢を継続する.2021年11月には AMS Fall Southeastern Sectional Meeting (University of South Alabama) における Special Session `Spatial Graphs' を,米国の研究者らと共同で組織することとなっており,国際的な交流による研究の進展も図る.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による国内外の社会的混乱に伴い,研究出張が不可能となったことが理由である.社会情勢が許せば,次年度は研究代表者及び研究協力者の国内外の研究出張のために使用する.情勢によっては,次年度も共同研究や学会参加のためのより良いオンライン環境の構築のために使用する.
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