研究課題/領域番号 |
19K03500
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研究機関 | 東京女子大学 |
研究代表者 |
新國 亮 東京女子大学, 現代教養学部, 教授 (00401878)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 空間グラフ / 極小リンク集合 / Vassiliev 不変量 |
研究実績の概要 |
1.グラフの2つのサイクルの非交和の集合がリンクしているとは,このグラフの任意の空間グラフに対し,この集合のある元の像が必ず分離不能絡み目となるときをいい,特にその任意の真部分集合がリンクしていないとき,極小にリンクしているという.この概念について次の2つの結果を得た:(1) グラフの2つのサイクルの非交和全ての集合が極小にリンクしているためには,グラフは本質的に Petersen 族のグラフのいずれかでなければならない.(2) 3以上のいかなる整数の組 $p,q$ に対しても,$p+q$ 頂点完全グラフ $K_{p+q}$ の $p$ サイクルと $q$ サイクルの非交和の極小にリンクしている集合で,高々18個の元からなるものが存在する.
2.$v$ をグラフ $G$ の空間グラフの次数 $n$ 以下の Vassiliev 不変量とするとき,$v$ が $G$ の空間グラフ上の交差交換で不変であるための必要十分条件が大山-谷山により与えられていた.そこで今回,谷山-安原による次数 $(n;k)$ の有限型不変量の概念と葉廣,Gusarovの $C_{k}$ 変形を用いて,それを次数 $(n;k)$ の有限型不変量 $\phi$ が $C_{k-1}$ 変形で不変であるための必要十分条件に拡張した.実際,次数 $(n;2)$ の有限型不変量は次数 $n$ 以下の Vassiliev 不変量で,$C_{1}$ 変形は交差交換である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
既約なハンドル体結び目の前順序集合の解析はやや停滞気味である.一方,空間グラフの代数的不変量による内在的性質の縛りの研究については,より高次の不変量による縛りを見出すためのアイディアを提示し,準備段階として幾つかの具体的成果を挙げることができた.
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今後の研究の推進方策 |
既約なハンドル体結び目の前順序集合の解析について,線型表現だけでなく対称群表現なども視野に入れて研究を進める.空間グラフの代数的不変量を用いた内在的性質の研究について,引き続き不変量の高次化の研究を進める.
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度も新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による国内外の社会的混乱が続き,研究出張がほぼ不可能であったことが理由である.社会情勢が許せば,次年度は研究代表者及び研究協力者の国内外の研究出張のために使用する.情勢によっては,次年度も共同研究や学会参加のためのより良いオンライン環境の構築のために使用する.
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