研究課題/領域番号 |
19K03500
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研究機関 | 東京女子大学 |
研究代表者 |
新國 亮 東京女子大学, 現代教養学部, 教授 (00401878)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 空間グラフ / 絡み目内在性 / Simon 不変量 / Petersen 族 / Conway-Gordon-Sachs の定理 |
研究実績の概要 |
柴山 祐里佳氏との共同研究により,以下を示した.いま,グラフが絡み目内在であるとは,その任意の空間グラフが非分離絡み目を含むときをいい,この性質は,Petersen 族と呼ばれる7つのグラフから特徴付けられる.これら7つのグラフの任意の空間グラフにおいて,含まれる全ての2成分絡み目の絡み数の総和が奇数となることが知られており,Conway-Gordon-Sachs の定理と呼ばれている.この事実は後に新國,新國-谷山,橋本-新國,O'Donnol らによって,結び目の不変量を用いて,より精密な整数上の等式に持ち上げられた.そこで本研究では,Petersen 族の各グラフについて,絡み目をなすサイクルペアの向きを適当に定めることにより,その絡み数の総和が K_{3,3} に同相なある部分空間グラフの Simon 不変量と呼ばれる整数値不変量に一致することを示した.Simon 不変量が奇数値であることから,これもまた Conway-Gordon-Sachs の定理の整数への持ち上げとなっている.また,特に Petersen グラフについては,サイクルの別の向きを考えると,昨年度の研究で見出された「一般化された Simon 不変量」と呼ばれる代数的不変量と一致することや,向き付け可能閉曲面の間の連続写像の写像度を用いた Conway-Gordon-Sachs の定理の代数トポロジー的解釈,更に高分子化学と関係する線形空間グラフの理論への応用なども合わせて見出した.これらの結果は,柴山氏によって研究集会「結び目の数理Ⅵ」(2023年12月)で発表され,その報告がウェブで閲覧できる(http://www.math.twcu.ac.jp/~mathsciknot6/msk6_proc/4Shibayama.pdf).
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
グラフの絡み目内在性がなす階層構造において極小なグラフである Petersen 族について,代数的不変量に関する新たな知見を見出すことができた.
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画通り研究を推進する.社会が正常化したので,国内外の研究集会やセミナーに足を伸ばして研究成果の発表や最新の情報の交換及び研究交流を行なう.特に空間グラフの不変量の研究については,Marymount University の Danielle O'Donnol 氏との研究交流及び連携を予定している.
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年度以前に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による国内外の社会的混乱の影響で,特に研究出張を満足に行なえなかったことがまだ尾を引いている.社会は正常化したので,次年度は研究代表者及び研究協力者の国内外の研究出張のために使用する.
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