当初,コンクリートのような硬い物質を想定して解析を始めたが,スポンジのような多孔性物質はその伸縮により場所ごとに特性が変化するため,このような弾性体を非均質領域として着目することにした。また,変位が微小とはいえないスポンジのような弾性体の動きを記述する偏微分方程式に対する研究が十分に進んでいなかったため,まずは弾性体を2次元閉曲線とみなした数理モデルの解析に重点的に取り組んだ。このモデルに現れる非線形歪みから生じる数学的困難を応力関数に特異性を仮定することで克服し,圧縮による歪みに対し下限が存在することを証明するなど,弾性体方程式に関してこれまでにない成果を挙げることができた。
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