有界領域で縄張り争いをする二種類の競争種の個体群密度を記述するロトカ・ボルテラ系に対して、両種の交差拡散係数を無限大にしたときの、定常解の漸近挙動を明らかにした。漸近挙動の解明にあたり、まず、任意の定常解の高さ(最大値ノルム)が、両方の交差拡散係数に依存しない正定数で抑えられるという先験的評価を与えた。次に、両種の交差拡散係数を無限大にすると、定常解は極限系の解に収束することを示し、ノイマン型とディレクレ型のそれぞれの境界条件のケースで、極限系の解の大域分岐構造を決定した。その結果,両方の競争種の交差拡散効果によって、競争種同士の棲み分け現象が定常解のレベルでは再現出来ることを明らかにした。
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