研究課題/領域番号 |
19K03624
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研究機関 | 芝浦工業大学 |
研究代表者 |
福田 亜希子 芝浦工業大学, システム理工学部, 准教授 (70609297)
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研究分担者 |
渡邉 扇之介 小山工業高等専門学校, 一般科, 講師 (80735316)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | max-plus代数 / min-plus代数 / トロピカル代数 / ネットワーク / 固有値 / 離散ハングリー戸田方程式 / 量子ウォーク / max-plusウォーク |
研究実績の概要 |
固有値問題を解くqdアルゴリズムの漸化式は有名な離散可積分系の一つである離散戸田方程式と一致する。研究代表者らのこれまでの研究において,超離散戸田方程式がmin-plus代数上の三重対角行列の固有値を計算できることが明らかとなっている。一方,I型離散ハングリー戸田方程式はその時間発展によってtotally nonnegativeと呼ばれる非対称なHessengerg行列の固有値を高精度に計算できることが知られている。また,それを超離散化したI型の超離散ハングリー戸田方程式は番号付き箱玉系の運動方程式と一致することが知られている。本研究では,この番号付き箱玉系の保存量と収束性を利用することで,超離散ハングリー戸田方程式の変数が有限回の時間発展によってmin-plus代数上におけるHessenberg行列の固有値と一致することを明らかにした。これらの研究成果は国際会議ICIAM2019およびMATTRIAD2019にて発表した。また,その収束の加速についても検討した。 また,量子ウォークのmax-plus類似に関する成果も得られている。通常の量子ウォークに対し,その演算をすべてmax-plus代数上の演算に変えたmax-plus ウォークを新たに導入し,そのいくつかの性質を明らかにした。具体的には,max-plusウォークの時間発展後の状態を決定する行列を陽的に構成することに成功した。また,この状態決定行列の固有値の総和は各離散時刻で不変な保存量となることも明らかになった。さらに,max-plusウォークの定常状態や極限分布に関する知見も得られている。これらの研究成果はLinear Algebra and its Application誌に掲載された。 さらに,min-plus代数における線形計算アルゴリズムと最短経路問題に関する文献調査を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2019年度に計画していた超離散ハングリー戸田方程式とmin-plus代数上の固有値計算に関する研究成果がおおむね予定通り得られているため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は,超離散ハングリーロトカ・ボルテラ系および超離散二次元離散戸田方程式に着目し,対応する固有値計算のアルゴリズムについて検討する。また,超離散可積分系と関連するソーティングアルゴリズムについても再考する。さらに,min-plus代数上の線形方程式を解くアルゴリズムと最短経路問題の関連についても引き続き検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は新型コロナウィルスの影響により2020年3月に予定していた国内出張が中止となったためである。 2020年度は,6月に参加を予定していた2件の国際会議が中止となったので,新型コロナウィルスの状況を考慮し,出張可能な状況となれば8月以降に適切な国内/国際会議に参加する予定である。
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