研究実績の概要 |
令和2年度は、査読付学術論文を2本出版した。「Limit distribution of a time-dependent quantum walk on the half line, Takuya Machida, Quantum Information Processing, Vol.19, 296 (2020)」では、量子ウォーカーが半直線上の端点(原点)に局在化した状態から出発し、2つのユニタリ行列が交互に量子ウォークのシステムに作用するようなモデルを研究した。この半直線上の時刻依存型2周期量子ウォークを、全直線上の時刻依存型2周期量子ウォークに複写できることを証明し、それを利用することで量子ウォークの確率分布の長時間極限定理を導出することに成功した。極限分布は量子ウォーカーの初期状態によらず、ユニタリ作用素だけで決まることがわかった。さらに、この研究成果から、ユニタリ行列が時刻に依存しないような半直線上の量子ウォークの確率分布に対して、その厳密な表現を得ることができた。「A limit distribution for a quantum walk driven by a five-diagonal unitary matrix, Takuya Machida, Quantum Information and Computation, Vol.21 No.1&2, pp.19-36 (2021)」では、CMV行列のクラスに含まれる、ある5重対角ユニタリ行列で時間発展が行われるような1次元量子ウォークの確率分布をフーリエ解析で解析し、長時間極限分布を導出した。
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