マウス腸内細菌叢のOTU間相互作用がこれまでさまざまな数理モデルで仮定されてきたランダム行列に近いものであることを示唆しており,統計力学,数理生物学における重要な仮説を検証したことになっている.また,各OTUの役割分担についても重要な示唆を得た.さらに,腸内細菌叢の種の豊富さのパターンが水系生態系等で観測されるものと同様の幾何級数型になることを強く示唆する結果を得た.これらの成果は,実証生物学,理論生物学,データ科学の融合領域における新たな発見という意味で学術的意義があると考えている.腸内細菌とホストの疾患との関係の探求に対しても重要な示唆を与えており,社会的意義は深いと考えている.
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