研究成果の概要 |
本研究では, ウランを含む化合物で出現する強磁性超伝導を舞台に, 磁気揺らぎによるスピン三重項超伝導の発現機構の解明をNMR法を用いて行った. 73Ge同位体濃度を濃縮したURhGe 単結晶を育成し, 一軸圧下で73Ge核NMR測定を実施した. その結果, 一軸圧力印加に伴う物質中の内部磁場, 電場勾配及び磁気的な揺らぎの変化を明らかにすることが出来た. さらに本研究では同じウラン系超伝導体UTe2においても, 単結晶NMR測定を世界に先駆けて実施し, この物質が超伝導を示す直前の温度領域において, 電子系に異常に遅い揺らぎが出現していることを見出した.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
スピン三重項超伝導は, トポロジカル超伝導がバルクで実現する系として, 次世代の量子コンピュータへの応用が強く期待されている. 本研究を通じて, スピン三重項超伝導を示すウラン系強磁性超伝導体の磁気揺らぎの性質について, その共通点と物質ごとの個性が明らかになった. これらの情報は, 今後スピン三重項超伝導の理論モデルを構築する上でも, 極めて重要である. また今回, 希釈冷凍機温度で一軸圧下でのNMR測定に成功したことで, NMR研究の可能性がさらに拡がった.
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