小惑星ベスタにおける巨大衝突の可能性を探るため,ジルコンの高精度U-Pb年代測定法の改良に取り組んだ.HED隕石中のジルコンはベスタの地殻の初期進化を考える上で重要な年代情報を与えるが,ジルコンの粒径が小さいため,二次イオン質量分析計を用いた年代測定が行われている.この手法では年代に対して2000万年以上の誤差がつくため,初期イベントを年代学的に分離するために高精度な年代が必要とされている.本研究では年代誤差を100万年以下に低減することに成功しており,本手法が複数のHED隕石に適応されることで,ベスタの地殻の形成史が明らかになり,原始惑星の進化プロセスへの理解が深まることが期待される.
|