理想化した数値モデル実験により、大西洋の南北両極域の間に見られる表層水温(塩分)の違い(非対称性)が海水の状態方程式の非線形性を通して、南極大陸周辺での海水の沈み込みを強化している可能性を示した。北大西洋で深層に沈んだ北大西洋深層水が南極大陸周辺で表層に湧昇し、水温の異なる周囲の海水と混合すると、できた海水は状態方程式の非線形性によってもとの海水より重くなり南極底層水として海底に沈む。太平洋を含む二海盆モデルでの実験から、この過程が地球規模の海洋循環の構造と変動を決める要因の一つとなる可能性が示された。
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