研究実績の概要 |
SiCやアルミナなどのダイヤモンドに次ぐ硬さを持つ触針による石英材料である光ファイバ端面へのスクラッチ加工を他の触針と比較しながら評価した。その結果両者はダイヤモンドに比べて加工量が少なかった。そして反射減衰量は、加工の前後であまり変化がなく高い値を維持した。加工荷重を増やし加工量をある程度大きくしてもこの傾向は変わらなかった。これは、これら材料によるスクラッチ加工では、加工においてダイヤモンドのような加工ダメージは発生せず、化学的な作用が働いていることを示唆している。なおSiC,アルミナともに、加工荷重に対し線形に加工量は増加した。液のpHの変化に対しては、アルミナは、ダイヤモンドやシリカ触針でファイバを加工した時と同様にpHの上昇に伴い加工量が増えたが、SiC触針では逆に加工量が減少した。そして純水中において両者の摩耗量に対する加工量の比を荷重を変化させて(加工量を変化させて)検討した結果、アルミナでは比が2、SiCでは比が5という一定の値であることも分かった。 基板に対するスクラッチ加工特性の評価では、シリコン基板へのダイヤモンド触針による加工において、純水中では、スクラッチされたシリコン表面が若干膨らむことが分かった。加工荷重を増やすとこのふくらみは大きくなり150μNで2~3 nmになった。大気中でシリコン基板にスクラッチ加工をすると極表面がアモルファス化した酸化膜になるといわれており、液中でもこのことが起きたと考えられる。一方pH11のアルカリ液中では、80μNではほとんど変化がなく、150μNでは、2nm程度の加工量が得られた。極表面の酸化と同時に、材料が若干エッチンされたと思われる。
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