本研究では、戦前期において建設された鉄筋コンクリート造社寺建築に着目し、特に地方都市において先行した寺院建築について調査を実施した。国内最初の事例とされる本願寺函館別院に次いで建設されたと考えられる、山形市・長源寺では、その設計者、施工者が判明し、小屋のみを木造とするハイブリッド建築としての構造、構法上の特徴を明らかにした。左官職人による豪壮な彫刻による装飾も、地域性と時代性をあわせもつものであった。その他、函館別院施工者の木田保造による地方事例の確認のほか、東京における関東大震災後の鉄筋コンクリート造社寺を調査し、その技術的特徴について分析を行った。
|