研究課題/領域番号 |
19K04964
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
高木 泰士 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 准教授 (40619847)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 木杭消波 / 簡易海岸保全 / 沿岸域 / 防災 / 適正技術 / SDGs |
研究実績の概要 |
本研究では,大きく以下の取り組みを行う。(1) 海岸侵食が進行している開発途上国の海岸で,住民が試行錯誤的に設置している木杭を詳細に調査し,住民インタビューを行い,その効果や問題点を検証する。(2) 木杭を設置した実験を行い,木杭周囲の波浪や流体現象を精緻に検証するとともに,その計測データを用いて数値流体解析モデルの改良や精度検証を行う。そのモデルを活用して,木杭の有効な配置方法や設計方法を検討する。(a) 現地調査による木杭効果の検証: 木杭はこれまで住民の試行錯誤や経験にもとづき設置されてきたと思われるが,効果は科学的には必ずしも明らかになっていない。木杭の侵食軽減効果を調べるため,現在急激な勢いで海岸線が後退している途上国の海岸で現地調査を行い,住民から木杭設置後の改善状況について聞き取り調査を行う。(b) 木杭模型実験に基づく数値流体モデルの検証・開発:簡易水槽を設置し,木杭模型を配置して,水位変動や流速,波圧などを計測し,数値流体モデルの検証データとして使用する。解析モデルには,乱流モデルを組み込み,自由表面解析により波の砕ける状況も再現可能で,かつ木杭間の流体運動を3次元解析できるモデルとして,近年多分野で活用が進められているOpenFOAMを使用する。解析には汎用コンピュータの他,東京工業大学が設置したスーパーコンピュータTsubame3.0を活用して,超並列計算により大幅な計算時間短縮を図る。数値解析や模型実験で明らかになった知見をもとに,木杭の効果や有効性を評価する。本年度は,上記のうち木杭模型を配置した数値解析を実施するとともに,小型実験水槽内に一定間隔の円筒杭を配列して定常な流れに対して基礎的な流体効果を測定した。木杭消波工の有用性について,概念的な戦略について論じた内容を国際学術誌Results in Engineeringにて発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
基礎的ではあるが,数値解析,水槽実験を行うことができ,次ステップへにつなげる有益な知見を得ることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの結果をある程度まとめて,対外発表を行いたい。新型コロナウィルスの感染拡大により,主要な取り組みである海外における調査ができるか不透明であるが,状況が許し次第,調査を行えるよう引き続き準備を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた海外調査が新型コロナウィルス感染拡大のため実施できなかったことによる。この分は繰越して,状況が許すようになった後に使用したい。
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