形状記憶効果とは変形しても加熱すると形が戻る現象である。加熱には形状記憶材料の比熱の分の熱だけは足りず、潜熱と呼ばれる熱を与えなければならない。これは氷が解けるときと同じで、保冷剤や氷まくらは潜熱で冷却している。形状記憶合金の潜熱を冷却に使うことができれば、水漏れが困る電子機器や自動車の保冷剤となる。これが固体潜熱蓄熱である。この蓄熱材料を工学的に設計するために、従来の材料研究ではほとんど問題にならなかった潜熱の大きさと,潜熱が熱拡散で試料中に広がる熱伝達について詳しく調べた。特に,医療用ステントの材料であるニッケルチタン合金の潜熱が形状記憶合金の中で最も大きいことに着目している。
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