本研究を通じ、β型チタン合金特有の{332}変形双晶について、その形成メカニズムを明らかにした。特に、変形温度に応じてそれが変化することは、これまでに知られていない新たな発見である。具体的には、室温では、前駆体として応力誘起α"マルテンサイト相を経由するもの、室温以下の低温では、原子のせん断とシャフリングによるものがそれぞれ選択される。さらに、室温における前駆体の形成とそれに伴う{332}双晶変形の誘起には、ひずみ速度の低速化が有効である可能性が示唆された。今後、本知見を基にした{332}双晶変形の発現制御とそれによる力学特性制御が期待される。
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