研究課題
基盤研究(C)
本研究では、実験室で利用可能な高分解能・蛍光X線分光器を新たに開発し、これをアガロースゲル中に自発的に形成されるマンガン(Mn)-鉄プルシアンブルー類似体(PBA)沈殿帯の分析に応用、徐放性製剤としての可能性をもつ周期的沈殿帯がもっとも生成しやすい調製条件、その条件におけるPBAの濃度分布、Mnまわりの局所構造、高いセシウム(Cs)の吸着能とそのメカニズムを明らかにした。
物理化学
本研究は、アガロース中で自発的に形成されるマンガン-鉄系のPBA(Mn-Fe PBA)の周期的沈殿現象が、放射性セシウムの吸着・除去に有効利用できることをはじめて示した。この成果は、環境科学や放射線医学に貢献するだけでなく、自発的なパターン形成の材料科学への応用としても興味深い。加えて、本研究の中で新たに見いだされた2種類の反応と拡散による新規な沈殿パターン形成現象は、非平衡系の物理学に新たな研究領域を提供した。このように本研究は、基礎・応用両面の様々な研究領域に新たな刺激を与えた。