研究課題
基盤研究(C)
フッ化ジルコノセン錯体、塩化パラジウム、トリエトキシランの還元触媒系に対して、末端アルキン誘導体とβ-ブロモスチレン類を処理すると還元的クロスカップリング反応が高立体選択的に進行し、有機高分子材料の原料となる1,3-ジエン誘導体が効率的に合成できる手法を開発した。また、β-ブロモスチレンの代わりに三フッ化ホウ素 (BF3) で処理すると、BF3のホウ素-フッ素結合を切断し、ホウ素-炭素結合の形成反応が触媒的に進行し、アルケニルホウ素化合物の合成にも成功した。
有機合成化学
不活性結合である炭素―フッ素結合の化学的切断は容易ではなく、これを自在に切断することができれば、フロン類のような不活性化合物を化学の力で分解し、環境問題を有機合成化学の力によって一挙に解決することが可能となる。今回、新たに高機能性第4族ジルコノセンフッ素化錯体を活用することで炭素―フッ素結合の切断を検討したが、その実現は困難であった。一方で、このジルコノセンフッ素化錯体は、ホウ素―フッ素結合の切断とホウ素―炭素結合の形成を高効率に実行できることを新たな知見として見出した。今後はこれらの成果を環境問題の解決の糸口につなげていきたい。