研究課題/領域番号 |
19K05484
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
土本 晃久 明治大学, 理工学部, 専任教授 (80313716)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 遷移金属触媒反応 / ホウ素 / 多置換アルケン / アルキン / 芳香族化合物 / π共役 |
研究実績の概要 |
本申請課題の当初の目的は,当研究室で様々な誘導体の合成に成功したアルキニル-B(dan) 1 を,多様な遷移金属触媒反応の基質として利用できることを明らかにし,これをもとに,有用有機分子の合成に繋げることであった。大別しては,[1] 1 の C(sp)-B(dan) 結合の遷移金属触媒直接変換と,[2] 1 の C≡C 結合へのジボリル化と,生じるトリボリルアルケンに対する,位置選択的な繰返しの炭素-炭素結合伸長反応によるπ共役拡張分子の自在合成,の二つの実現を目指した。 まず [1] については,我々はすでに,パラジウム触媒を用いた,鈴木-宮浦クロス・カップリングを実現し,報告している(Adv. Synth. Catal. 2019, 361, 1815-1834 )。ここでの知見を元に,この反応をアリールボロン酸 2 共存下に,反応点を二つ持つハロゲン化アリール(X-C6H4-X')と反応させたところ,大変興味深いことに,アルキニル-B(dan) 1 とアリールボロン酸には,反応性に明確な差があり,X-C6H4-X' に対しては,1 由来のアルキニル基,2 由来のアリール基を順序よく反応せることが可能であることがわかった。現状では,反応条件の最適化をおこなっているが,Hex-C6H4-C≡C-B(dan),p-Cl-C6H4-B(OH)2, p-I-C6H4-Br の三成分を反応させた場合に,対応する三成分が反応した生成物,p-Cl-C6H4-p-C6H4-C≡C-C6H4-p-Hex が 91% (NMR) の高収率で得られることを確認している。 [2] のついては,現在,様々な アルキニル-B(dan) 1 のジボリル化により,対応するトリボリルアルケンが収率よく得られることを確認している。今後は,これらを使って,多様な四置換アルケン合成を計画している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今は概ね順調に進行しているが,現在の,学生の構内への入構制限が今後さらに伸びると,今後の研究の進展に遅れが生じると予想される。
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今後の研究の推進方策 |
現在は,アルキニルーB(dan) 以外にも,当初から実現を熱望していた,アリールーB(dan) の (sp2)-B(dan) 結合のパラジウム触媒直接変換についても,実現可能であることを見つけている。ただ,生成物の収率の観点では,使い勝手の良い反応のレベルには達していないので,第三者に使ってもらえるような反応に磨きをかける必要がある。こちらについても,積極的に検討していきたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
理由:反応条件の設定を入念に実施したことにより,様々な基質を購入するまでには至らなかったため。 使用計画:今後は,反応条件の確立を早急に行い,多様な基質に耐えうる反応なのかの検討へのステージに入っていくため,様々な基質の購入費用として研究費を有効活用する。
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